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第3章・・・【罠にかかったセイクリッド・シーダ号】

セイクリッド・オーク号の中では、一仕事終わって、皆のんびりくつろいでいるところだった。
パドラスはいつものお気に入りの席、地球の方向に開いた窓際に座って、うつらうつらと居眠りをしていたのだが、その時副操縦士のジャラの声で起こされた。

“救助を求める信号が入っています”
みんなが大きなスクリーンの前に集まると同時に、スピーカーから声が聞こえてきた。
“メーデー、メーデー、こちらはセイクリッド・シーダ号。
なにかが妨害していて、急に動きが取れなくなりました。
原因は解明できません。メーデー、メーデー、メーデー、
救援をお願いします”

“セイクリッド・シーダ号だって?私たちの仲間じゃないか。
カぺル、データーを探せ”

“セイクリッド・シーダ号はアンドロメダ銀河での仕事を終わって、本部へ戻るところだったようです。
搭乗員は、カーシャ隊長をはじめ五人です”
“カーシャだって?私は彼女を知っている。
前に何度か一緒に仕事をしたことがあるんだ”

“スクリーンのどこにもそれらしきものは見えません。
でも信号が入ってきたということは、それ程遠くにいるというわけではないのですが、おかしいなあ”
ジャラは首をひねった。

“次元が違うのかな?ジャラ、光の振動光線を当ててみてくれないか?”
ジャラは、他の次元も見通せる紫の光線をあたりに放射した。
すると何か細い線が多方向に交差している真ん中に、物体が浮かんでいるのがスクリーンに映し出された。

“それだ、なんだか蜘蛛の巣のようだね。
真ん中の物体が宇宙船かな?
ジャラ、セイクリッド・シーダ号と連絡はとれるか?”
“いいえだめです。信号も途絶えてしまいました”

“隊長、おそらく、セイクリッド・シーダ号は異次元の罠にかかってしまったのではないでしょうか?”
科学者のセムが言った。
“異次元の罠だって?
セム、もう少し説明してくれないか?”
“最近、何度か起こっている現象なのです。
宇宙船が消えてしまうのですが、あちらこちらに異次元の落とし穴ができていて、そこにはまってしまうようです。
それがどういうもので、どうしてできたかはまだ不明です”
“その罠にかかって戻ってきた宇宙船はあるのか?”
“いいえ、それはまだ報告されていません。

“よし、サイラ、シューティング・スター号を出してくれ。
それからセムは私と一緒に来てくれ”
“カぺル誘導をよろしく頼む。
ジャラ、紫光線をちゃんと当てておいてくれよ”

シューティング・スター号は、大きな蜘蛛の巣のようなものに向かって進んでいった。
“サイラ、なるべく近づいてくれ。
でもわれわれが罠にかからないように十分気を付けてくれよ”

“すごいなあ、これは本当に蜘蛛が網を張ったように見えるね。
中に入ることは危険だし、ここからなんとかサンプルを取れないだろうか?”
セムは興味深そうに眺めながら聞いた。
“それならシューティング・スターの腕を使えばいいわ。
けっこう便利な腕が付いているのよ”
サイラがボタンを押すと、宇宙船の両脇から長い腕が伸びて、先端には手のような形のものが現れた。
“ほら指もちゃんと5本ついているでしょう?”
サイラはそれを器用に動かして、片手で蜘蛛の糸を掴み、もう一方の手でじゃんけんの鋏を作ると、蜘蛛の糸をちょんちょんと切り取った。
“よし、サイラそれを隔離室に入れたら、オーク号に帰ってくれ”

安全のため、セムは隔離室へ入って、謎の物質を調べることにした。
“セムどうだね、危険性はないか?”
“危険性はないようです。
でもこれは全く蜘蛛の糸ですよ。
蜘蛛の糸は、細くても鋼鉄より強いんです。
強くて弾力があるし、これは完全なオーガニックですね”

更新日:2023-05-08 08:54:27

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セイクリッド・オーク(聖なる樅)・ギャラクシーの旅