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地球Bに着陸

テイランとジャラは地球の大気では息苦しいのでマスクを付けて、パドラスはマスクなしで、三人は宇宙船から外へ出ると、あたりを調べに歩き出した。
しばらくすると、木陰に隠れながら誰かが後をつけてくるような気配を感じた。
テイランは立ち止まって呼びかけた。

“私たちは悪者ではない。
出てきて話しをしないか?”
だがどこからも声は帰ってこなかった。
“そうだ、そのマスクがまずいんじゃない?
きっと怪しいものだと思っているんじゃないかな?
ここのところは、マスクなしの僕だけが交渉した方がいいかもしれない。
僕は彼らと全く見た目が変わらないからね”

“それではジャラと私は少し戻って、隠れたところから様子を見よう。
相手がどういうものか解らないから、十分注意してくれよ、パドラス”

テイランとジャラの姿が消えたのを確かめて、パドラスは周りに聞こえるような声で話しかけた。

“僕はパドラスと言います。
ザルファの手先なんかではありません。
あなたの味方です。
安心して出て来て下さい”
だが誰も出てこなかった。

“どうしたら信用してもらえるかな?
ここからあなた方を救い出すためにやってきたのです。
僕とその計画を話し合いましょう”

パドラスは腰につけていたピストルを地面に放り出した。
“武器はもう持っていませんよ”
すると木の後ろから黒づくめの人が現れた。
その人は手に銃を持って、一足一足警戒しながら近づいてきて、パドラスの前で止まった。

“後ろを向いて手を上に上げなさい”
その声から女性であることが解った。
彼女はパドラスの体をさぐって他に武器を隠していないのを確かめると、“振り向いてください”と、向けていた銃を降ろしながら言った。

“どうも申し訳ありませんでした。
ザルファ星人の兵士たちがこの山の中に入り込んでいるので、警戒を怠ることができないのです。
あなたは「聖なる木たち」の一人ですか?”
パドラスはびっくりした。

“なんでそんなことを知っているのですか?”
“私の祖父は、宇宙に満ちる情報を受信できるのです。
ひと月ほど前に“あなた方を助けに、宇宙から「聖なる木たち」が降りてくる”というメーセージを受け取りました。
さっき宇宙船が降りてくるのを見て、きっとその時が来たのだと思ったんです。
でもあなたは宇宙人じゃなくて地球人だったから、もしかしたらザルファ人のスパイかもしれないと思って、チェックさせていただきました”

“そうだったんですか。
僕は確かに「聖なる木たち」の一人です。
他に3人の宇宙人と一緒に、あの宇宙船でやってきました。
僕だけ地球人なのですよ。
あとの仲間を呼んでもいいですか?”
“ぜひお願いします。
私はセルビー。
これから私たちのコミュニティーにご案内しましょう”

更新日:2023-03-09 20:46:50

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