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第9話「初恋の終焉」

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 6004年3月11日――
 トロロ星はこの日、存亡をかけた戦いに一つの幕を下ろした。
十賢者のグランドマスタークク・サファイアが率いる光の連合軍とフミコ・デッドウッドが率いる闇の魔導師達による十一日の死闘の末、勝利を手にしたのは光の連合軍だった。
だがこれは完全なる勝利ではなかった。その闘いで多くの血が流れ、大切な命もたくさん失われた。
由里が生み出した闇の魔導師の中でもフミコ・デッドウッドの強さは頭ふたつ、いいやみっつほど抜けていた。
彼女は卓越した魔力、広域にわたる魔法知識のみならず人を動かすカリスマ性、狂気性をもちあわせていた。
彼女の悪の美学に陶酔した魔導師達が『デルカオス』という史上最強のカルト集団をつくりだし、各地を火の海に変えていった。
フミコ・デッドウッドは当時、現暗黒四天王で知名度や世界に与えた影響度でいえばおそらくトップクラスだったであろう。
そしてフミコが倒れた時、彼女は生き残った十賢者に言い残していった。
“ これは終わりではなく始まりである。わしは闇由里(ダークユリ)が生み出した多くの駒の一つでしかない。闇由里(ダークユリ)を倒さない限り、悪夢が終わることはないだろう ”
ちなみにフミコを倒す際、もといた十賢者のほとんどが全滅してしまった。フミコとの戦いによって十賢者最強だったナナやククも疲弊して全盛期の力を失ってしまった。そしてこの戦争を勝利に導いた光由里卿(ポポ)もまたこの戦いで散っていった。
 フミコを倒した後も『フミコの使徒:デルカオス組織』の残党による怪事件が各地で頻発した。どれだけ闇の魔導師達を駆除したところで彼らは新たに、むしろ彼女たちが倒す以上のスピードで新たな闇が生まれていく。
 フミコ戦争で一番大きなショックを受けたのはシオリ・カモミールだった。
 愛する親友ポポを失った悲しみはもちろんのこと、非力な自分自身が腹立たしくなり自責の念を強く抱きこれまで以上に彼女は強さを求めるようになった。
 
 だがシオリの執拗までの強さへの渇望は彼女の心に大きな影を落とした。
 激しい憎悪と絶望に打ちひしがれていた時に彼女の前に一人の少女が現れた。
 

更新日:2023-06-15 23:16:50

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