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刑務所から数十キロ先まで逃げ切ると待ち合わせ先にククとナナの姿もあった。ククは偉そうに腕を組み、倒れた丸太の上に足と手を組んで座って待っていた。ナナは落ち着かない様子であたりを見渡していた。
「遅かったじゃない。待ちくたびれたわ」
 そしてククのまわりには闇の魔導師達が千人以上いて、皆気絶していた。
「これふたりでやったの?」
「まあね、ナナ世界最強だから」
 ナナは鼻を鳴らしながら自慢して言った。
「あなたはほぼ何もしていないでしょ、ナナ?」
「まあね、雑魚ばっかりだったし。私の出る幕じゃなかったわね。ククレベルでもなんとかなったから」
「ククレベルってそれどういう意味?」
「文字通りの意味よ。ナナ弱者いじめはあまり好きじゃないから。それにナナ、力加減わからないし、相手が凡人じゃついつい殺しちゃうかもしれないわよ。ナナパンチで」
「まあ……それは否定しないわね。本気でパンチしたら山が吹っ飛んじゃうもんね。どんだけ規格外なのよ」
 ククは嫌味ったらしく言った。
「あの……助けてくれてありがとう」
 少女はぺこりと四人に頭を下げた。
「いいえ、当然のことをしたまでよ、そういえばあなたの名前を聞いていなかったわね。なんていうの?」
 リナは少女の目線に合わせるようにしゃがみこみ、尋ねた。そしてリカもククもナナも少女を刮目してみた。
「マユミ……」
「マユミちゃんね。何があったのかはわからないけれどももうここまでくれば大丈夫よ。みんな強い人たちばかりだから」
「特にナナはね」
 ナナは自分の胸に指をあてて強調した。
「いちいち強調するな、ゴリラ女」
「なんですって、雪女」
 二人はにらみ合った。
「まあまあ、二人とも落ち着いて。ククちゃんもナナちゃんも最強だから」
 リカは二人をなだめるように言った。
「いいや現段階では間違いなくリナお姉さまが世界最強でしょ。あらゆる領域の魔法に通じている上に人生経験、
特に恋愛経験も豊富であり、すべて完璧、私達とは格が違うのよ、なにもかも」
 ククは目を閉じてリナを神のようにあがめた。
「ナナもリナお姉さまには頭あがらないわ。ナナを最強に鍛えてくれたのもすべてリナお姉さまのおかげ。マユミちゃん、魔法も勉強も武術も恋愛もセックスもリナお姉さまに学べば間違いなく一流になれるわ」
「いいや恋愛やセックスは違うと思うけれども、ナナちゃん……」
 リナは冷笑しながら言った。
「れんあい……せっぷす?」
 マユミはつぶらな瞳でいう。
「いいやなんでもないわ。それよりも助けたはいいけどこの子これからどうしようかな?」
 とリナが言った。
「リカ屋敷で育てればいいんじゃないですか? どのみち引き取り先もないと思いますし」
 とナナが言った。
「あなた、無責任のこと言うんじゃないわよ、こんな幼い子を誰が面倒みるのよ、あなたがオルフィー王に掛け合って何とかしてもらいなさいよ!」
 とククが叫んだ。
「いいやそれ絶対にダメ。マユミちゃんかわいいからいずれ性奴隷として高値で他国に売り飛ばされて終わるわ」
「まああの暴君ならばやりかねないか」
 ククは納得して頭を抱え込んだ。
「私、リナお姉ちゃんがいい」
 マユミはリナの右手を握った。
「えっ私?」
 マユミはコクンとうなずいた。リナの目が点になった。
「マユミ、リナお姉ちゃん大好き。一緒にいたい」
 マユミは涙をぼろぼろ流してリナに抱きついた。
「即決ね。じゃあそれで解決ってことで」
 ナナは安心して胸をなでおろした。
「うん、私もそれでいいと思う。もちろんお姉ちゃんにもマコト君やリンちゃんがいるから大変だと思うけれどもリカ屋敷で、みんなで支えながら育てていけばいい。私たちが責任もって育てるわ」
 リカがそういうことで、マユミの引き取り先はリカ屋敷に正式に決定した。

更新日:2023-04-12 23:42:16

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