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第2話「初恋の軌跡」
1
オルフィー国辺境地其の川――
「百万ポルだ」
サヤカ・クライゼンはオルフィー国辺境にある川のほとりでタバコをふかしながら冷徹な表情を浮かべながらオルフィー大学校現生徒会長であるレナに吐き捨てた。レナは頭を垂れて、ひれ伏して右手に持っているトランクケースをあけた。中には大量の札束が入っていた。
「その三倍の三百万ポルをおもちいたしました。どうかご査収ください」
サヤカはにやりと笑みを浮かべて念力で全ての札束を宙に浮かせた。
「オルフィー大学校生徒会長、レナ・シークレットか。だがこれだけの大金そう簡単に用意できるものではない。いったい誰の差し金かな」
「そっそれは……」
レナが言葉に詰まるとサヤカはふとある人物を脳裏によぎらせた。
「おおよそリカの仕業だな」
サヤカのその言葉にレナがピクッと体を震わせた。
「あいかわらす油断も隙もない女だ。この星の反対側の距離にいるというのにこうもすべての状況を正確に把握し、先手を打って手駒を動かしてくる。おかげで悪さ一つもできない」
炎を彷彿させる髪と瞳、スレンダーな体型ながら鍛え抜かれた肉体、そこが知れない魔力をもち、そこからみせる余裕の笑みを浮かべるその風貌は裏社会を仕切るマフィアのボス以上の威圧感があった。
その威圧感で思わずちびりそうになったレナだったが彼女は物怖じしながらサヤカに視線を移した。サヤカは咥えていたタバコを中指にはさみこみ、細目になり大空に向かってふかした。そして蔑むように彼女を見下ろした。
「いいえ彼女はあなたを信じてこの仕事を振ってきました。これは国を揺るがす大きな事件のひとつです。あなたの力が……必要です」
レナが表情をこわばらせながら言った。
「そうだろうな……そうでなければ私はとうの昔にリカに始末されている。利用価値があるものは奇人だろうが元悪人であろうと自分の手札にする。それが彼女の政治手腕。それでレナ・シークレット、この事件の解決に奴はどれほどの時間をくれるのだ?」
「明後日までです」
レナがそういうとサヤカは思わずタバコを落としてしまった。
「相変わらず無茶苦茶だな、あの女。それでわたしはどこまですればいい? 犯人を斬首してその首を国王に献上すれば満足か?」
「いいえ、彼女は首を取れとはいっていません。犯人を見つけ、その犯人を国王に献上するように、かつ今回の事件がシオリ・カモミールの指示により動いたのかを知りたいそうです」
「まあ国王に献上することじたい殺すと同格だと思うが……まあいい。ひきうけてやろうではないか」
「肝に銘じます」
レナは敬意を示しながらサヤカに礼をすると去っていった。
「さてと……この星のゴミを消しにいくか」
サヤカは背後に現れた二人の魔導師に指示を送った。アヤ・クライゼンとトモコ・ウッタッタ
「すぐに始めます、師匠」
それから数時間も経たないうちに犯人は拘束され、国王に献上されたのだった。
オルフィー国辺境地其の川――
「百万ポルだ」
サヤカ・クライゼンはオルフィー国辺境にある川のほとりでタバコをふかしながら冷徹な表情を浮かべながらオルフィー大学校現生徒会長であるレナに吐き捨てた。レナは頭を垂れて、ひれ伏して右手に持っているトランクケースをあけた。中には大量の札束が入っていた。
「その三倍の三百万ポルをおもちいたしました。どうかご査収ください」
サヤカはにやりと笑みを浮かべて念力で全ての札束を宙に浮かせた。
「オルフィー大学校生徒会長、レナ・シークレットか。だがこれだけの大金そう簡単に用意できるものではない。いったい誰の差し金かな」
「そっそれは……」
レナが言葉に詰まるとサヤカはふとある人物を脳裏によぎらせた。
「おおよそリカの仕業だな」
サヤカのその言葉にレナがピクッと体を震わせた。
「あいかわらす油断も隙もない女だ。この星の反対側の距離にいるというのにこうもすべての状況を正確に把握し、先手を打って手駒を動かしてくる。おかげで悪さ一つもできない」
炎を彷彿させる髪と瞳、スレンダーな体型ながら鍛え抜かれた肉体、そこが知れない魔力をもち、そこからみせる余裕の笑みを浮かべるその風貌は裏社会を仕切るマフィアのボス以上の威圧感があった。
その威圧感で思わずちびりそうになったレナだったが彼女は物怖じしながらサヤカに視線を移した。サヤカは咥えていたタバコを中指にはさみこみ、細目になり大空に向かってふかした。そして蔑むように彼女を見下ろした。
「いいえ彼女はあなたを信じてこの仕事を振ってきました。これは国を揺るがす大きな事件のひとつです。あなたの力が……必要です」
レナが表情をこわばらせながら言った。
「そうだろうな……そうでなければ私はとうの昔にリカに始末されている。利用価値があるものは奇人だろうが元悪人であろうと自分の手札にする。それが彼女の政治手腕。それでレナ・シークレット、この事件の解決に奴はどれほどの時間をくれるのだ?」
「明後日までです」
レナがそういうとサヤカは思わずタバコを落としてしまった。
「相変わらず無茶苦茶だな、あの女。それでわたしはどこまですればいい? 犯人を斬首してその首を国王に献上すれば満足か?」
「いいえ、彼女は首を取れとはいっていません。犯人を見つけ、その犯人を国王に献上するように、かつ今回の事件がシオリ・カモミールの指示により動いたのかを知りたいそうです」
「まあ国王に献上することじたい殺すと同格だと思うが……まあいい。ひきうけてやろうではないか」
「肝に銘じます」
レナは敬意を示しながらサヤカに礼をすると去っていった。
「さてと……この星のゴミを消しにいくか」
サヤカは背後に現れた二人の魔導師に指示を送った。アヤ・クライゼンとトモコ・ウッタッタ
「すぐに始めます、師匠」
それから数時間も経たないうちに犯人は拘束され、国王に献上されたのだった。
更新日:2023-01-24 22:11:31