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第10話「二人の由里」

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 6012年9月11日オルフィー国第二地区郊外地区――
 数十人にわたる少年たちが幼い一人のウッタッタ少女を追いかけていった。人気のない住宅街の街角においやっていき、垣根に覆われた高い壁で覆われた十字路におびき寄せた。少女は四方を敵に囲まれ完全に詰んだ。
 少女より一回り大きな少年たちは手にナイフを持っていた。そして少年の中の数人はナイフをなんと舌で嘗め回しウインクまでした。ウッタッタ一族の少女といえども数十人の男子に刻まれたら間違いなく絶命する。少年たちはこの茶番劇を楽しんでいた。少女は瞳に涙を浮かべ震えていた。
 そして少年Aが一人ウッタッタ少女に斬りかかったところだった。突如として少年Aの腕がひね曲がり、背後にいる少年Bに強制的に斬りかかった。
「うわおっ!」
 少年Bは悲鳴を上げて、がに股となり、おしっこをちびってしまった。そしてその背後にいる少年Cと少年Dは白目となり糸操り人形のように手足が勝手に動き、少年Eと少年Fに斬りかかった。
「っひいいいい!」
 少年Gと少年H、少年Iは怪しげなタップダンスを踊り始め、口から泡を吹き始めた。その他の少年たちは悲鳴をあげてイカれてしまった少年たちの動きをとめようとナイフを突き刺した。
「おいおいおいおいおいおい、俺はまともだ、やめてくれ!」
 少年Hは鼻水を垂らしながら必死に抗議した。
「なにしやがる、ぶっ殺すぞ!」
 少年Iは糸人形のようにタップダンスを踊りながらも顔を歪め、歯ぎしりを始めた。
「ひいい、この手が勝手に動いたんだよ!」
「言い訳するなボケ、裏切り者には死あるのみ!」
 少年Qはナイフを振り回し、暴れだした男子たちをオーラセーバーで次々と切り捨てていった。
「ひいいいいい! やめてくれー」
 やがて少年たちは同士討ちを始めた。当初の目的であるウッタッタ女子の暗殺は頭の隅に追いやられてしまった。
唖然としたウッタッタ女子はブルブルと震えながらも騒ぎから抜けるように逃げていった。
 正気に戻った少年Cと少年Dは必死に抗議したが認めてもらえず斬り殺されてしまった。
「ああっ、俺の人生オワタ!」
 ウッタッタ少女を狙った少年たちが全滅したのはそれから一分後の話だった。

更新日:2023-06-15 23:54:17

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