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チーム38、苦渋の決断
ついに、チーム38に二人目の戦闘不能者が出たとき、残されたブルとジャッロは決断を下した。
「君は、彼と一緒に引き上げてくれ。負傷者には付き添いも必要だし、要塞都市にも守りは必要だ」
紅一点のメンバーであるソワールを、負傷したネロと引き上げさせる。まだ幸いにも、この世界には要塞化されて安全が確保された拠点の基地となる都市が幾つも残っており、守りの人員の需要はあるのだった。
「でも、あなたたちは?」
「格下げを申請する。「ハーフチーム」で、出来ることやるつもりだ」
ハーフチームとは、初期に想定された五人一組ではなく、二人か三人の小規模チームのことだ。人数が少なく戦力も低いから、全体での作戦や運用もそれ相応に加減される。
ソワールは悔しげに、意固地になって反論しようとした。けれど、ジャッロは頭を左右に振った。
「だって、お前の死んだ兄貴にだって申し訳も立たんだろ? 妹の夫婦まで台無しにした、じゃあ」
「まだ結婚してないけど」
「だったら、要塞の基地で療養しながら従軍の神父にでも頼め。ネロが怪我したのも天の采配だ」
このチームで最初の死亡者はソワールの兄だった。そして重傷で腕と足を一本ずつ失ったネロは、彼女の暗黙の婚約者だった。
だから本人だけのことではない。兄妹で戦死ではあんまりであるし、さすがに後遺症の重傷を負ったネロから、恋人まで取り上げる気にはなれない。
輸送用のジェットヘリが到着したとき、麻酔薬で朦朧としていたネロはわずかに意識を取り戻して、少しだけ泣いていた。
その場に残される二人は親指を立てたり手を振って見送ったものの、前途を思えばやっぱりブルとジャッロの気分も重かった。自分たち自身のことも、世界の未来のこともだ。
「これで半分以下になったな、人数。どっちみちこの地域は終わりだろうけど」
「もしあいつらに子供が出来たとして、幸せかな? 未来が最悪なんだとしたら」
「言うなよ。絶望的になってくるじゃないか」
やるせない笑いがあった。
「君は、彼と一緒に引き上げてくれ。負傷者には付き添いも必要だし、要塞都市にも守りは必要だ」
紅一点のメンバーであるソワールを、負傷したネロと引き上げさせる。まだ幸いにも、この世界には要塞化されて安全が確保された拠点の基地となる都市が幾つも残っており、守りの人員の需要はあるのだった。
「でも、あなたたちは?」
「格下げを申請する。「ハーフチーム」で、出来ることやるつもりだ」
ハーフチームとは、初期に想定された五人一組ではなく、二人か三人の小規模チームのことだ。人数が少なく戦力も低いから、全体での作戦や運用もそれ相応に加減される。
ソワールは悔しげに、意固地になって反論しようとした。けれど、ジャッロは頭を左右に振った。
「だって、お前の死んだ兄貴にだって申し訳も立たんだろ? 妹の夫婦まで台無しにした、じゃあ」
「まだ結婚してないけど」
「だったら、要塞の基地で療養しながら従軍の神父にでも頼め。ネロが怪我したのも天の采配だ」
このチームで最初の死亡者はソワールの兄だった。そして重傷で腕と足を一本ずつ失ったネロは、彼女の暗黙の婚約者だった。
だから本人だけのことではない。兄妹で戦死ではあんまりであるし、さすがに後遺症の重傷を負ったネロから、恋人まで取り上げる気にはなれない。
輸送用のジェットヘリが到着したとき、麻酔薬で朦朧としていたネロはわずかに意識を取り戻して、少しだけ泣いていた。
その場に残される二人は親指を立てたり手を振って見送ったものの、前途を思えばやっぱりブルとジャッロの気分も重かった。自分たち自身のことも、世界の未来のこともだ。
「これで半分以下になったな、人数。どっちみちこの地域は終わりだろうけど」
「もしあいつらに子供が出来たとして、幸せかな? 未来が最悪なんだとしたら」
「言うなよ。絶望的になってくるじゃないか」
やるせない笑いがあった。
更新日:2023-01-12 08:53:19