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看護役

 廊下でしばらく話をしていたチョース達は、一応の妥協案を内々で決めて、再びユースの寝室に戻った。
 するとユースがベッドに寝たまま、先程と同じような格好でこちらを見ていた。
 ニコラスがかいがいしくその隣に付き添って、水差しの用意をしたり電話機の周りを掃除したりしていた。

ユ「密談は済んだかな?何を協議してた」
チ「お前の経験から来る真言を、無視するべきじゃないと思い至った所さ。ジョニーとよく話し合って、行き先やなんやを決めたい」
 それを聞き、ユースは無表情に言った。
ユ「いいとも。大尉は今日一日、君の秘書に付けるから、話し合う時間はいくらでもある。‥ずいぶん物分かりがいいな。レイクをどう納得させた?」
チ「こいつはまだ納得してないよ。明日、年齢を戻すんだろ?どうせ強制的だ」


 ユースはレイクの顔色を見て、それが嘘だとすぐに気づいたが口では何も言わなかった。
ユ「じゃ、今日のそいつの面倒は僕が見よう。いや、逆なのかな。ニコラスと一緒に僕を看てくれるのかい?レイク」
 レイクはチョースの顔を見て、うなずかれたので言った。
レ「うん、ちゃんとやるよ」
ユ「そうか、嬉しいな。じゃおいで。添い寝してくれ。ボヤボヤしてるとニコラスがここに潜り込んでくるから」
 冗談のようにユースがそう言って、横のスペースをポンと叩いた。
 ニコラスが心もち羨ましそうな目線を送る中、レイクは歩いて行って、モゾモゾとユースの横の同じ布団の中に入った。



 ベッドの上に一対の置き物のように収まった二人を見て、チョースもジョニーも何だか微笑ましい気分になった。

 三歳児程度のレイクというのはどこかおかしげな間を持って動いていて、それが人々に笑いのような境地を誘うのだった。その彼と一緒にいると、普段は大人のようなユースもごく普通の子供に返ったように見えるのが不思議だった。
 ユースは大きなぬいぐるみでも抱くように、レイクを片手て引き寄せると頬を片方くっつけ合った。


 その姿勢のまま、ユースは他の人には聞こえないような低い声でレイクにこうしゃべった。
ユ「何かいい事を言われただろ。何に釣られた?チョースも一緒に行くつもりなんだろ」

更新日:2023-01-10 10:22:01

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ORIGIN180E D.C.編 3