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ティファンが涙を拭いながら、アイリスから身を離す。
「シアン」
「…は、はいっ。…お母様っ……。」
ティファンが声を掛けると同時に、シアンに纏わり付いていた子達が飛び立った。
シアンは頬が赤らんでおり、相当緊張している様子が伺える。
ティファンはアイリスにしたように…いや、それよりもより壊れやすい物を扱うかのように、優しくシアンを抱きしめた。
シアンも、躊躇いつつも、ティファンの背に手を回した。
「向こうの私にも、こうやってもらってる?」
「えっ…は、はいっ。あちらのお母様もとてもお優しくて…。」
ティファンはそれには答えず、ただシアンの頬に擦り寄った。
「…シアン」
「はっ、はいっ!」
「向こうの私に、いっぱい甘えるのよ?」
「えっ…は、はいっ!」
「ワガママも言ってね?」
「は、はい……で、でも…」
「だめっ」
シアンが少し体を揺らす。
「子供はね、甘えるものなの。」
ティファンがゆっくりと、シアンと向き合う。
「あなたは、あなたのまんまで良いの。」
「……。」
「あなたがどんな事をしたって、…」
『すくなくとも』
「…すくなくとも、ここにいるみんなは、あなたの事を嫌いになんてならないから。…ね?」
素知らぬ顔で、幼子数人が宙を旋回している。
アイリスの様子に変化が無い辺り、この思念はティファンと私と、恐らくホルにしか届いていないようだ。
「………はいっ!」
シアンは元気良く応え、心なしか瞳も潤んでいる様だった。

更新日:2022-11-29 21:05:14

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