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そろそろ本当に別れの頃合いだ。
地脈が安定し、星々の影響も受けない凪いだひと時などは、滅多に訪れない。
時間の影響の無い狭間とは言え、灰の王の時代からの因縁深い者達がこれ程に集えば、全く何も起こらないとも言い切れない。
すました顔で居るホルが此処の何かを調整しているのだろう、これだけの間過ごしていてもどこにも違和感を覚えないのは、流石としか言いようが無かった。

ティファンが別れの言葉をシアンに告げ…アイリスに告げ、抱擁を交わす。
今はもう惑わされては居ないようだ。
「リュークっ…」
ティファンが私の体に顔を埋める。
ホルががどの様な表情をしているか気に掛かったものの、敢えて見ない事にし、彼女の髪を撫でた。
「あのねっ……いっぱい…ありがとうねっ!?」
何も言わずに、ただ撫で続けた。
それが私の役目と言えばそうだし、やりてくてやっていると言えば、そうでもある。
しかし、言葉などは不粋なものでしか無かった。
「また…来る事になるかと思いますよ。」
「本当っ!?」
顰めた眉に潤んだ瞳。
相も変わらず幼女の様な彼女に、自然と笑みが溢れる。
「えぇ。…本気を出して下さる方がいらっしゃれば、私も楽になるのですが、どうやらそれは期待出来そうに有りませんので。」
視界の端にホルを捉えると、彼は苦笑していた。
その仕草も懐かしいものだ。
だが…囚われていても、何も変わらない。

ティファンから体を離し、背を向け、扉を出現させる。
最後の最後になって心残りが生じつつあるのが伺えるアイリスを、真先に扉の向こうへ押しやり、次いでシアンを促してアイリスに寄り添わせた。
「…それでは、また。」
大きく手を振るティファンに手を振り返し、ホルに目をやり…背後に何か叫び声を聞きつつ、扉を閉めた。

更新日:2022-11-30 21:19:16

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