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spinelle
ぼんやりと何をするでも無しに、外の景色をただ見つめる。
見ているのはもしかすると景色ですら無く、窓枠かもしれない。
何かに囚われているような感覚からは脱したものの、まだその余韻が抜け切らない。
…軽くノックの音がした。
返事をせずとも、少しして扉が開いた。
先日ノックをしてから入室した際の、アイツの様子をふと思い出す。
所作を押し付けられるのは不愉快だが、ほんの少しくらいなら…アイツを揶揄う態度には、またやってやらんでもないかという気になっていた。
「おば様…」
「ん?…どうした?」
気遣わしげな甥っ子の様子に、軽く戸惑う。
ここ数日の私達の関係は割と良好で、思い当たる節が無い。
「体調の事なら、もう問題ないぞ。…レイチェルからでも聞いたか?」
「それは良かったです。…お母様は何もおっしゃってはいませんでしたが、少し気になってはいましたので。」
やはり感の良い子だ。
それとも土地の気配の変化を、この子も感じ取っていたのだろうか。
「あの…今日は……」
シアンが不安げにリュークを見上げる。
リュークは軽く微笑み、それを引き受ける事にしたようだった。
「体調が宜しいのでしたら、少しご一緒にいかがですか?」
あれの後も引き篭もりがちな私を、気遣いでもしたのだろうか。
見ているのはもしかすると景色ですら無く、窓枠かもしれない。
何かに囚われているような感覚からは脱したものの、まだその余韻が抜け切らない。
…軽くノックの音がした。
返事をせずとも、少しして扉が開いた。
先日ノックをしてから入室した際の、アイツの様子をふと思い出す。
所作を押し付けられるのは不愉快だが、ほんの少しくらいなら…アイツを揶揄う態度には、またやってやらんでもないかという気になっていた。
「おば様…」
「ん?…どうした?」
気遣わしげな甥っ子の様子に、軽く戸惑う。
ここ数日の私達の関係は割と良好で、思い当たる節が無い。
「体調の事なら、もう問題ないぞ。…レイチェルからでも聞いたか?」
「それは良かったです。…お母様は何もおっしゃってはいませんでしたが、少し気になってはいましたので。」
やはり感の良い子だ。
それとも土地の気配の変化を、この子も感じ取っていたのだろうか。
「あの…今日は……」
シアンが不安げにリュークを見上げる。
リュークは軽く微笑み、それを引き受ける事にしたようだった。
「体調が宜しいのでしたら、少しご一緒にいかがですか?」
あれの後も引き篭もりがちな私を、気遣いでもしたのだろうか。
更新日:2022-12-01 17:45:23