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昨日の晩飯は思い出せません

「私は俗にサラリーマンという立場にあるが、そのなにがひどいかって、何もかもひどい!会社の上司からは圧迫され、後輩たちからやたらに責任を押し付けられる!帰りたくても残業が行く手を遮り、得られた賃金は泡沫のごとく消え去る!ついでに税金は年増すごとに高くなるし、養う子や妻もいつしか可愛げを失った!そうこうしていればコキ使われてボロ雑巾にされて、あまつには老後の生活すら危ういときた!そんな苦しさがあっても見下されるような現代はおかしい!私はなんてかわいそうなんだ!」
「その企業を経営するものだが、私とて悩まぬことがないこともない。なぜなら使えない社員と甘えてばかりの子供たち、さらにはライバル企業の存在に株主たちが大勢……」
「それを言うなら我ら消費者こそそうだ。企業がどのようなものを使っているのか全てを把握することはできない。しかも企業の従業員のサービスの質の低下はまったくひどいもので、最近の教育の在り方は……」
「教育というのなら私だって一言あります。大学で遊んでたわけでもなく、きちんとしかるべき道を歩んできたというのに、教員になっても全然信用されないし、親からは期待ばっかり……そもそもすべてを私たちになすりつけるのはいい加減にしてください。少しは自分で何とかすることを考えたらどうなんです?」
「元を返せば、それは、いわく、政治の問題じゃあないのか?政治が悪ければ民を悪くなる。ということは、我々は悪い政治の元に敷かれた等しき被害者。つまりは協力関係にある同じ被害者なのであって……」
「聞き捨てならないことを言う!キミはまるで私たちにすごく力があるように言うじゃないか!確かに他の人間よりは権力は持ってはいるが、必ずしも独占的にいけるとはそうは限らない。私なんかが指示できるほど、世の中の壁は2枚でも3枚でもない。利害関係があるのだ。それを踏まえれば、私もそのしがらみの被害者だ。なんて私はかわいそうなんだ!」

更新日:2022-11-17 22:39:42

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