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「カリン・エメラルドの暗殺に一番障害となるのは間違いなくリナ・エメラルドでしょう。ですが彼女の守備も完璧ではありません。彼女は夜必ずパートナーと情事に至ります。そのとき、部屋に強固な結界を張ります。外部、ないし内部からの音が完全に遮断され、外部に対しての警戒心がほぼなくなります」
「しかしだな、カリンのことだから屋敷全体に大きな結界を張っているのでは?」
「むろんそのとおりです。ですがその結界も我が一族の結界バスター隊五人を出動させれば解除も可能です。大きく解除するのではなく孔を開けるのです。一部区間に穴を開ける程度であればリナに気付かれることなく侵入が可能です。彼女の寝室は屋敷の最上階の端にあります。結界さえ一部解除できれば暗殺まで一分もかかりません」
「なるほどな、だが屋敷に入るまでに大きな垣根があるだろう。垣根をくぐるにも見張りがいるだろう。それをどうやってクリアするつもりだ?」
「五人の護衛のうちふたりはすでに我らの手駒に落ちました。垣根の外にいる見張りは気づかれないように私が罠魔法を数重にかけてひとりの刺客にやらせます。この任務を行うには私含めて五人の人員が必要です。その人員を私に任せてくれればカリンの暗殺を確実にやり遂げてみせます」
 サヤカの作った現地レポートを両手で広げてじっと覗き込むシグマとシンジ
「うむ、たしかに半分はそなたのいうとおりかもしれんな。だが少々ツメが甘い気がする。そもそもリナが情事を行う時間帯は日々違うし、その間もカリンのことだろう、そなたの知らない別の守りがあるだろう。リナに気付かれずにことを及ぶにはあまりにも危険すぎる」
 とシンジが言う。
「リナを別の注意に引き付けることが必要じゃろう。彼女は大きな魔力反応にかなり敏感に反応する。どれだけ強い魔導師だろうと体はひとつしかない。リナを不在にしたあとにカリンを叩いたほうが確実だろう」
 シグマもシンジに同意するように口を添えた。
「しかし別の注意とは具体的にどうすれば?」
「なーに、近隣で派手に大暴れすればいいのさ。リナを惹きつけるほどの強い力を見せつけ、現地住民をなぶり殺す。正義感の強いリナは確実にその力に引き寄せられ、解決に向かうだろう。そこで守りの弱くなったカリン邸でカリンを狩る。それでいこう」
 シグマの意見にシンジも賛成した。
「その囮は誰にやらせるつもりですか?」
 サヤカは鋭い目つきでシグマに問う。
「わしらも一肌脱ごうではないか。わしの所属する教団の仲間が現地にもいる。その中にはかなりの実力者もいる。貴様だけだとこの仕事は危なっかしいのでな、お前が失敗しそうならばすぐに俺が代わろう。失敗は絶対に許されないからな」
 シグマはにやりと笑い、落ち着いたようにいうとサヤカはうなずいた。
「この仕事、確実に終わらせてみせます。シグマ殿」
 サヤカも幼ながらも凛とし、自信の溢れた笑みを浮かべた。

更新日:2022-11-27 23:50:45

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エメラルドの守護人「生涯の誓い」