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 リナはほっと息をついてちょうどいい高さの岩の上にタオルを引き、座った。そのとなりにリカも座る。一日中歩き続けたこともありリカの足は棒のようになっていた。
 リナはそんなリカのふくろはぎからつま先にかけて優しくもみほぐしていった。本当は魔法でバシッと筋肉痛を治したいところだったがここで貴重な魔法力を使いたくなかった。リカもまたリナの全身をもみほぐしたかったがなにせ手が痛すぎて腱鞘炎になってしまっており、なにもできなかった。
「ありがとう、お姉ちゃん……」
「いいのいいの。よく頑張ったわね、リカ。さあ、食べなさい」
 もみほぐしが終わったあとリナは昨日手に入れたたったひとつの塩にぎりをリカに渡した。
「お姉ちゃんは?」
「私は大丈夫よ。次の村に着くまであと数日かかるだろうからきちんと食べなさい。そうしないあなたの体がもたないわよ」
 リナは殊勝な表情を浮かべてリカを覗き込む。
「お姉ちゃん……」
 リカは自分の手のひら程度しかないしおにぎりを半分に分けた。
「リカ……」
「ありがとう、お姉ちゃん、でもお姉ちゃんも食べてほしいの。どんなに強いお姉ちゃんだって食べないと魔法力が回復しないわ。ただでさえ私のためにたくさん魔法を使ってくれているんだから」
 リカは涙目でリナに半分を差し出した。リナも涙目になる。
「そう……大丈夫だけど……じゃあちょっとだけ言葉に甘えてもらうわね」
 リナは結局塩おにぎりの四分の一を口にした。だが二人のお腹はなり続けた。二人は寄り添うように座った。
「この砂漠の無機質を食料に変える魔法があればいいのにね」
「さすがにそれは無理があるよお姉ちゃん……かなりの魔法力を使うわ。核分裂を起こす魔法を使うぐらいだったら隣町までテレポートで飛んだほうがいいわ」
「たしかに……」
 今や瞬間移動するだけの魔法力も残されていなかった。魔法力がゼロに近い今、リナの肉体的強さのみが頼りだった。
 だが知能派の筋肉質のマッチョな男や野生モンスターには到底太刀打ちできない。この状態で襲われたらひとたまりもなかった。
「あなたは先に寝なさい。四時間ずつ交代でね」
「ええ、お姉ちゃんは先に休まないくていいの?」
「私の体は夜型だから……」
「じゃあお言葉に甘えて」

更新日:2022-11-09 22:27:24

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