- 122 / 128 ページ
第9話「天使達の邂逅」
1
ある日気付いたらリナとリカは智広に一面七色に光る花畑と田園が広がる雲ひとつなく風のない特殊な空間に引きずり込まれていった。見渡す先には水平線がどこまでもひろがり、その上には雲ひとつない青色の空が広がり、その青色の空を横断するように虹がかっていた。
「こっここは……」
とリカが言う。
「もしかして天国?」
とリナも動揺しながら言う。
「あはは、違うよ。まあ天国のような場所であることには間違いないけど」
と智広が軽いノリで言った。そして少し先に歩いていくと同じように連行されてきたククとナナの姿があった。どうやら彼女達も突然予告もなくこの場所に連れてこられたようだった。
「リッリカちゃん、あれ、ナナ、ここ、どこ?」
道着を着たナナがぽかんとなった。
「しっししょう! これはあまりにもひどすぎますよ。少し予告というものがあってもいいのでは。私、風呂入っていたんですけど……」
素っ裸のククを見てナナとリカ、リナが驚愕した。
「くっくくちゃん……」
リカが赤面しながら言うと智広は魔法の杖をふり一瞬でククに魔法服を着せた。
「それは……悪いことをしたな」
智広はゴホンと咳払いして草原の中に広がる一本道を進んでいった。リナ、リカ、クク、ナナが彼についていくように歩く。
「ククちゃんかわいい」
ナナがククをからかうように言う。
「やかましい!」
ククはふんだと鼻息を荒くして顔を赤らめ、恥ずかしそうにナナから目を背けた。
「あの、智広様、私達はこれからどこにいくんですか?」
とリナが怪訝そうに訊く。
「君たちがこれから会う人物はこの世界の現人神ミナミ様だ」
杏仁智広が淡々という。
「現人神って神様ってこと。そんなすごい奴この世界にいるの?」
とククが突っ込む。
「いる。彼女は美里レジェントの総大将のようなものだ」
「美里レジェントってなに?」
とナナがぽつりと訊く。
「かつて地上界最強の力を与えられ、地上界の守護人に任命された大賢者のリーダーのことだよ。要するに世界の舵取りを任された光の大統領のようなもの、でしょ、師匠」
「わかりやすい説明だね。まあそんな感じの役職さ。そして美里レジェントは、現在はその座を引退したもの。手足を失ったかつての凄腕ピアニストって感じかな」
と智広がいう。
「ダメじゃん、それ!」
ククが盛大に突っ込む。
「美里レジェントはたしかに現役時のときと比べるとかなり弱体化してしまっているけれども今となっても世界に存在する魔導師の中では最強クラスだね。彼女達は当時の力の使い方と知恵の多くは覚えているからね」
「それ、意味があるんですか? いくら力の使い方を覚えていても使えないんじゃ意味がないじゃないですか」
とククが言う。
「そうともかぎらない。人間が手足を失った時、義足や義手でその機能を補うように彼女達も美里の力に近いなにかで埋めようとしている。だからこそ強いんだ」
「なるほど……だからお姉ちゃんは強いんですね」
ある日気付いたらリナとリカは智広に一面七色に光る花畑と田園が広がる雲ひとつなく風のない特殊な空間に引きずり込まれていった。見渡す先には水平線がどこまでもひろがり、その上には雲ひとつない青色の空が広がり、その青色の空を横断するように虹がかっていた。
「こっここは……」
とリカが言う。
「もしかして天国?」
とリナも動揺しながら言う。
「あはは、違うよ。まあ天国のような場所であることには間違いないけど」
と智広が軽いノリで言った。そして少し先に歩いていくと同じように連行されてきたククとナナの姿があった。どうやら彼女達も突然予告もなくこの場所に連れてこられたようだった。
「リッリカちゃん、あれ、ナナ、ここ、どこ?」
道着を着たナナがぽかんとなった。
「しっししょう! これはあまりにもひどすぎますよ。少し予告というものがあってもいいのでは。私、風呂入っていたんですけど……」
素っ裸のククを見てナナとリカ、リナが驚愕した。
「くっくくちゃん……」
リカが赤面しながら言うと智広は魔法の杖をふり一瞬でククに魔法服を着せた。
「それは……悪いことをしたな」
智広はゴホンと咳払いして草原の中に広がる一本道を進んでいった。リナ、リカ、クク、ナナが彼についていくように歩く。
「ククちゃんかわいい」
ナナがククをからかうように言う。
「やかましい!」
ククはふんだと鼻息を荒くして顔を赤らめ、恥ずかしそうにナナから目を背けた。
「あの、智広様、私達はこれからどこにいくんですか?」
とリナが怪訝そうに訊く。
「君たちがこれから会う人物はこの世界の現人神ミナミ様だ」
杏仁智広が淡々という。
「現人神って神様ってこと。そんなすごい奴この世界にいるの?」
とククが突っ込む。
「いる。彼女は美里レジェントの総大将のようなものだ」
「美里レジェントってなに?」
とナナがぽつりと訊く。
「かつて地上界最強の力を与えられ、地上界の守護人に任命された大賢者のリーダーのことだよ。要するに世界の舵取りを任された光の大統領のようなもの、でしょ、師匠」
「わかりやすい説明だね。まあそんな感じの役職さ。そして美里レジェントは、現在はその座を引退したもの。手足を失ったかつての凄腕ピアニストって感じかな」
と智広がいう。
「ダメじゃん、それ!」
ククが盛大に突っ込む。
「美里レジェントはたしかに現役時のときと比べるとかなり弱体化してしまっているけれども今となっても世界に存在する魔導師の中では最強クラスだね。彼女達は当時の力の使い方と知恵の多くは覚えているからね」
「それ、意味があるんですか? いくら力の使い方を覚えていても使えないんじゃ意味がないじゃないですか」
とククが言う。
「そうともかぎらない。人間が手足を失った時、義足や義手でその機能を補うように彼女達も美里の力に近いなにかで埋めようとしている。だからこそ強いんだ」
「なるほど……だからお姉ちゃんは強いんですね」
更新日:2022-12-24 22:30:13