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アズナーの戦士ガイン ヌルゼクス

 此の物語の主人公『ガイン・マーチンスター』は知らない。此の世には強さでは太刀打ち出来ない存在が居る事に。其の手先と初めて刃を交えた事は在っても其れを使役する存在に関しては余りにも無知が過ぎる。

 其の男は音もなく、姿を現すと驚愕する一般人の中に……「あれ? まあ良いか。何か凄く黒ずくめのヒョロガリ野郎が居たような?」入るなり、まるでサブリミナル効果を利用した間隔と速度で見事に溶け込んでみせる。

 此処はアナリズム型銀河と呼ばれる下品な表し方をすると女性器の形をした銀河。其処に在る鶴翼型太陽系第三惑星『エレニア』。天の川銀河に所属する或る太陽系第三惑星と同条件に加えて同一の人類が星の支配者を務める。だが、文明レベルは未だ産業革命直後でしかない。其の為、主力の燃料は炭素という物で蒸気機関がないと峡谷に伸し上がれない模様。尚且つ、蒸気機関故に大気汚染は酷く……当時の大英帝国に当たる覇権国家『キア』。地理的には西側大陸の少し寄り添う島国のと或る労働街では空気汚染のせいで日中でも前が見えない状態。

 そんな街中を背丈が170にバストGカップのウェスト峰不二子、ヒップはバストより二センチも小回りな姿をする男が居た。性別を完全な女性に模す男は何を探すのか? 否、溜息を漏らす……「予測の通りだ、此処は私の母星よりもマシとはいえ労働者を部品にしないと満足に国を運営出来ないようだな。アダム・スミスが当たり前の事を語るようにこんな成長の望みがない国では労働者は大切には扱われないのは無理もない話だな。さて、独り言は此処迄だな。少々雑音が苦しいが、後二十八秒とコンマ七より……余計か、奴は此の太陽系に降り立つ」其れから他人からすれば理解不能な文明論と精密を通り越した計算式で導き出したラプラスの悪魔を口にしながら何かを待ち構える。

 そして其れは二十八秒とコンマ九の内に此処へ降り立つ……

更新日:2022-11-10 05:05:02

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