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従兄弟コール

 その日の仕事が終わったチョースは、レイクのいる病室に帰ってきて、自分もそこで寝ようとした。
 だが病棟にいた看護人に見つかって、その部屋を追い出されてしまった。
 「自分は健康で鍛えた体を持っているのだから、うつる心配はない」と彼は何度も説明した。しかし“病棟の規則だから”という理由で、訴えは一蹴された。
 この施設では軍人が夜間の看護役をしているのか、まるで警備員のような見た目の男性だった。背が高く態度も強そうで、チョースの押しにもひるまず全く折れそうになかった。



 少年は怒りの形相で、次にユースの病室の方へ向かった。だがそちらは面会謝絶だと言われた。
 室内を見ると、秘書のニコラスが当たり前のように付き添っていた。それで人がいるじゃないかと反論すると、個室の続き部屋だけは泊まりがOKなのだそうだった。
 それでその部屋へ行こうとしたら、泊まれるのは一人だけだと注意されてしまった。
 どのみち夜で面会時間も終わっているという事で、彼は病棟のブースから追い出され、そこへ通じる廊下のドアの外へ閉め出された。
 彼は頭にきてドアを蹴り返したが、ガラスは案外頑丈でビクともしなかった。
 入り口のインターフォンを鳴らして誰かを呼んでみたが、案内も終了になったのか係員の応答は返ってこなかった。


 結局、チョースは憤然としたまま、為すすべもなく夕食を取りに行くことになった。








 食堂へ行って列に並んで配膳を待っている時、携帯に電話がかかってきた。
 すると相手はアーサーだったので、食堂を出て静かな所へ行って電話に出た。

ア「やっと基地からの許可が出たよ。まんまと逃げ込んだな。それとも、そこに捕まってでもいるのか?」
チ「あの気違い女共の研究所から逃げ出せて、心底ホッとした所だよ。誰に許可を得た?アイボリーか?」
ア「ああ。レイクは風邪だそうだな、ユースも。お前が仕事中だったっていうのは、そのためか?」
チ「まあな。‥どこからかけてる?」
ア「ハルカイリだよ。新センターの事務室からだ。僕の方も色々忙しくてね。なかなかコールできる機会が無かったが、ずっと心配してた。お前がとんでもない決断をしてくれたからな」

更新日:2022-11-17 11:44:32

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