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16 私も合コン楽しみです

 すると、ピピピピピッと、ショウタのポケベルが鳴り出した。
 ショウタは液晶モニターをじっと見ると、ニヤリと笑って画面をオレに見せて来る。

「報告ありぃ? 王子との合コンよろしくねぇ……? 何それっ? そもそも王子って、誰のことだよ?」

「だっからさぁ、……ホノオはボクと一緒に、放課後、彼女達と駅前のカラオケ喫茶で会って貰えるかな?」

「彼女達?」

「何すっ呆けてんだよ! カマトトかキミィ!? 一応言ぅとくけどさぁ、ホノオのファンの女子皆さんだよ!」

「はぁっ!?」

 何言ってんのコイツ!? 何だよオレのファンって?

「あれぇっ、何その態度!? ホノオさぁ、もう少しばかし自分ってもんをワカった方が身のためだよ。そんなんだから、いつまで経っても独り身でいられるんだろうけどさぁ……」

 そう言って、ショウタのヤツはやれやれっといった感じに呆れた顔をする。
 何だよ! 何かムカつくな、オマエのその態度!

「アレアレェキミ達ぃ、真昼間から男子2人だけで仲良くお食事かい? もしかして、もしかしてぇ、大事な内緒話でもしているのかなぁ?」

 シノはそう言うと、グループでオレ達の隣の空いた席に着く。
 すると、間髪入れず、今度はマホのグループが、オレ達を挟んでシノ達の反対側に座って来た。

 オレの隣がシノ。ショウタの隣にマホが座り、女子同士お互いニッコリと笑い合う。
 もしかして、昨日ウチで夕食を共にしたから仲良くなったのかな?

 マホはショウタのアジフライを目敏く見て、

「アレ、B定食。お揃いだね!」

 そう言って、ニッコリと笑った。
 何だよそのツラ。オマエはここ数年、オレにはそんな顔ひとつしなかったクセに!

「ねぇねぇホノオさん。私、マホさんに勧められてA定食にしたんですけど、結構盛が大きいですよね。やだっ、……私食べらんなぁ~いっ!」

 シノが、オレのシャツの袖をくいっくいっと引っ張りながら話しかけて来る。
 何だろコイツ? 妙に少食アピールしてあざといっつぅか。それに何だかやったら顔が近いなっ!
 
 そんでもって、クラスの女子達に、シノはヤサがオレんチだってことをわざわざ白状しているんだけど。
 キャ~キャ~黄色い声で、ひとつ屋根の下だねとか同棲だねとか喚き立てられて、満更でもなさそうな顔つきのシノ。

 それで衆目を集めながら、オレに笑顔を向けて来やがるのである。
 何つぅ~か、周りにオレとの親密な関係とやらをアピールしまくりじゃねぇかっ!

 ふと、……どこからか刺すような視線を感じてそちらを見ると。
 マホのヤツが、苦虫を嚙んだようなしかめっ面で、オレとシノを漫画のようにでっかい眼で凝視しているんだよね。

 怖っ!!

「マホさん、そんなに見つめないで下さい。何だかとっても気恥ずかしいですぅ」

 シノは、まるで気にしないかのようにそんなことを言って、頬を赤く染めているんだけど。
 もういいから早く飯食えよ、オマエらっ!

更新日:2024-01-24 00:39:11

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