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第6話 午睡と池

挿絵 800*534

不規則なシフトの仕事をしていた頃、疲れが溜まりやすくなっていたので、夜勤前に昼寝をするのが習慣になっていました。
家の裏に家があり、そこにはYという60代の夫婦が住んでいました。私の家とYさんの家を囲うように市道が通ってます。両家のにとって家の裏側にあるため、単純に裏道と呼んでます。
最近、Yさん家の遺産トラブルの話を聞いて知ったのですが、お二人に子供はいないそうです。

† †

私は裏の道に座っていました。裏の道は昔に整備された市道なので、手作り感のある凸凹とした道なので、座ると地味に痛いです。この道の片側は、両家の石垣があり、反対側は私の実家所有の畑と田んぼの土手になっています。

私は田んぼの方を向いて座り、池を眺めていました。
(あれ?ここに池はあったかな?)
疑問に思いつつ、池の観察をしていました。広さは直径3mほどの円形で、池の底にはたくさんの落ち葉が積もって黒ずんだ色をしています。水の流れはなく、静まり返ってました。
人の気配に振り返ると、幼稚園児くらいの男の子が立っていました。ちょうど私が通っていたF幼稚園の制服に似ていました。

男の子「何見てるの?」

私「池を見ているの」

男の子「ふーん」

男の子は私の方へ歩きながら、尋ねてきました。
(遠くから子供が来るはずないし、Yさん家の子供かな。)
大して気にもしてませんでした。そして、男の子も私と一緒に池を眺め始めました。さっきまで闇を閉じ込めたような黒一色だったのですが、池の淵が少し浅瀬になっていて、カエルの卵がたくさんありました。
私は、池に足を入れてみたくなり、土手を少し降りました。素足を足首まで入れた時、また人の気配がして振り返りました。白っぽいワンピースを着ていて、髪の長さはセミロングくらいの若い女性が立っていました。この男の子を迎えにきたのだろうと思いました。

女性「何しているの?」

男の子「池を見てるんだよ。来て。」

男の子は女性の方へ走っていき、てを引いてこっちに来ます。男の子の母親がきたなら大丈夫だと思い、また視線を池に戻しました。すると、自分の足首から段々と透明な水に変わっていくのに驚いて、私は動けなくなりました。

女性「危ない」

突然、私の腕を女性が引っ張り上げました。私は振り返ると、今までいたはずの親子も誰もいませんでした。
呆気にとられていると、目が覚めました。

更新日:2022-07-28 09:28:51

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