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3 覗き込む恐怖
3 覗き込む恐怖
駐車場に戻ると自分の車を覗き込む様な感じで佇む一人の女性が居たが、直ぐに七類尚子だと気付いた潮平春泉は、躊躇せずに声を掛けた。
「久しぶり……今は、何してるの ?」
と平静を装い話し掛けた潮平春泉に七類尚子は、
「気持ち良い海と空ね……私、今は、ルポライターって言うか、冤罪事件の真相を追いかけてるんだけど……良いタイミングで登場するわね、同業者って訳」
と見透かした様に言った。
「私は、今、フリーの記者を遣ってて……何故か今は、舞い込む仕事も心霊関係が多く成っちゃって……」
と体裁を繕う様に態とぎこちなく言葉を繋ぐ潮平春泉に向かって
「貴女が拘わってのは、幽霊……今、私が追い掛けてる冤罪の被害者は、既に死刑が執行されてるから、お互い死人が仕事の対象って事で良いのかしら」
とクールな雰囲気で七類尚子が言った。用事が終わり帰る予定だった潮平春泉は、其の事を伝え様とした……が
「今から、少し怖いけど、事件に纏わる……ある場所に行くけど、大丈夫でしょ」
と相変わらず強引な七類尚子は、投掛けた言葉を振り解こうとする気配を見透かす様に
「此の時間から帰っても遅く成るだけだし……せっかく来たんだから、美味しい魚と地酒を楽しんで明日帰れば良いじゃない……其れに未だ全然明るい訳だし……」
と意味深に言った。元々一泊する心算で明日は、富山県の五箇山に在る、お小夜塚を回ってから帰る予定だった潮平春泉は、特に興味も無かったが、頑なに断る理由も思い付かなかったので、同行する事に決めた。
駐車場に戻ると自分の車を覗き込む様な感じで佇む一人の女性が居たが、直ぐに七類尚子だと気付いた潮平春泉は、躊躇せずに声を掛けた。
「久しぶり……今は、何してるの ?」
と平静を装い話し掛けた潮平春泉に七類尚子は、
「気持ち良い海と空ね……私、今は、ルポライターって言うか、冤罪事件の真相を追いかけてるんだけど……良いタイミングで登場するわね、同業者って訳」
と見透かした様に言った。
「私は、今、フリーの記者を遣ってて……何故か今は、舞い込む仕事も心霊関係が多く成っちゃって……」
と体裁を繕う様に態とぎこちなく言葉を繋ぐ潮平春泉に向かって
「貴女が拘わってのは、幽霊……今、私が追い掛けてる冤罪の被害者は、既に死刑が執行されてるから、お互い死人が仕事の対象って事で良いのかしら」
とクールな雰囲気で七類尚子が言った。用事が終わり帰る予定だった潮平春泉は、其の事を伝え様とした……が
「今から、少し怖いけど、事件に纏わる……ある場所に行くけど、大丈夫でしょ」
と相変わらず強引な七類尚子は、投掛けた言葉を振り解こうとする気配を見透かす様に
「此の時間から帰っても遅く成るだけだし……せっかく来たんだから、美味しい魚と地酒を楽しんで明日帰れば良いじゃない……其れに未だ全然明るい訳だし……」
と意味深に言った。元々一泊する心算で明日は、富山県の五箇山に在る、お小夜塚を回ってから帰る予定だった潮平春泉は、特に興味も無かったが、頑なに断る理由も思い付かなかったので、同行する事に決めた。
更新日:2022-06-11 20:19:23