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9 ましゅまろ
9 ましゅまろ
しかし、針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件の事を一番覚えて居るのは、当時巡査長だった統括刑事部長の倉斗奎丑で捜査日報の空白を埋める為に士堅大姿の家に何度も下見に行き、曖昧な目撃者の記憶から、事件に繋がる車の特徴を上手く汲み取った様に……そんな風に都合良く誘導して、目撃調書を作成した事や、再捜査が行われる度、当時捜査を指揮して居た、右川県警広域本部長、秩父胤予(ちちぶ たねやす)から渡された証拠物件管理簿に未記載の物品に手を加えて、新たな証拠物件が見付った様に偽装した報告書を纏めたり……士堅大姿を犯人にする為なら何でも遣った。
後に、回りの状況から見ても針淵絵浬を営利目的で誘拐して殺害した後、死体を遺棄した犯人は、士堅大姿、以外に考えられ無いとの警察がマスコミにリークしたのは、他に疑わしい人物を見付ける事が出来なかったからで……進展が無く警察の威信を失墜させて居た、雨笠鈴子、失踪事件と其れに続く、方丈 燿 、殺人・死体遺棄事件の犯行にも関連付けられると、確信して居たからだった。
しかし、要求された身代金の受け渡し場所に犯人が現れなかった事より、犯人が身代金の受け渡しに指定した場所が不自然で、適当に場所を指定したとしか考えられ無い事だった。仮に自分が犯人だったら、警察が報道協定を締結して居ると想定した上で、身代金の受け渡しの有無に拘わらず、接触後の逃走ルート確保を一番に考えるが、七尾線の羽咋(はくい)駅から少し離れた、千辞(ちじ)駅を身代金の受け渡し場所に指定した事には、疑問を感じた。
仮に金沢駅だったら人通りが多いから、接触する迄、誰が犯人なのか特定し辛い事に加えて、ラッシュの時間帯を選べば、接触後も雑踏に紛れる事も出来る。更に捜査員を配置する必要が有る場所も多く、人員の確保も大変で、予想外のルートで逃走される危険も有る。しかし、寂れた千辞駅は、人影が皆無なので接触する人物を特定し易く、取り囲む民家を借りれば張り込みも容易で、逃走ルートも駅前の細い道を辿った先の幹線道路や集落を抜けた先の農免道路も直ぐに閉鎖出来る事等、余りにも不自然だった。
結局身代金の受け渡し場所に犯人は現れず、警察に通報した事を責める内容の電話が有った後、連絡が途絶えた。翌日、郵送されて来た手紙に記されて有った望梅台公園、発電機跡のコンクリート水槽で針淵絵浬が無惨な姿で発見された。見付かった遺体は、殺害後、発見現場の水槽に投げ込まれたと推測され、最初の脅迫電話が掛かって来た時には、既に死亡して居た可能性が高かった。犯人は、最初から人質を返す心算も無く、暴行を加えレイプした後、絞殺して居た。
警察が士堅大姿に目を付けた訳は……金札令昧子が以前
「隣の士堅大姿が仕事に行かないのは、可笑しい……」
と周囲に触れ回った事から始まり
「無職の士堅大姿は、生活する金に困って居る筈なのに、日中も怪しい気配がする」
と尾鰭を付けた噂話に加え、何かトラブルが有ると
「士堅大姿が怪しい……」
と金札令昧子は、吹聴して回った。其の為、気味悪がった周囲の住民から、警察に苦情が寄せられ、事実を確かめ様とした駐在員と士堅大姿がトラブルに成り、要注意人物として報告されて居たからだった。
特に以前、行方不明に成り今も行方が解らない雨笠鈴子、次に、アタゲ岬で絞殺後遺棄された状態で発見された方丈 燿 の両名共に
「其れらしき幼女を失踪直前と思われるタイミングで士堅大姿の家の付近で見掛けた」
と金札令昧子が証言して居た。其の為、士堅大姿を重要参考人として複数回事情聴取を行い、内偵捜査も行って居が、証拠集めにも難航して居て逮捕立件には、程遠い状態の時に起きたのが、針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件だったからだ。
未解決の重大事件を抱え、批判が集中して居た警察は、新たに発生した針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件、前後の士堅大姿の行動に付いても金札令昧子が
「無職でガソリン代も払えない筈なのに其の日の前後位は、頻繁に車の出入りが有り最後には、ボロい車なのに何故か入念に洗車して居ただけじゃ無く、車内も丹念に掃除機を掛けて居た」
と証言した事に加えて
「換気の為に開けて居る家の窓から、不穏な音と気配を感じたので外に出て見たら士堅大姿が何食わぬ素振りを見せた後、洗車を止めて慌てて家に隠れた」
と金札令昧子が周囲の人達に触回って居た事も聞き込みで得られた為、其れを重視した警察は、他に容疑者として浮かび上がる人物が見付からなかった事と針淵絵浬の両親や近親者等に恨みを持って居たと思われる人物も居なかった事から士堅大姿を重要参考人として聴取した後、逮捕した。
しかし、針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件の事を一番覚えて居るのは、当時巡査長だった統括刑事部長の倉斗奎丑で捜査日報の空白を埋める為に士堅大姿の家に何度も下見に行き、曖昧な目撃者の記憶から、事件に繋がる車の特徴を上手く汲み取った様に……そんな風に都合良く誘導して、目撃調書を作成した事や、再捜査が行われる度、当時捜査を指揮して居た、右川県警広域本部長、秩父胤予(ちちぶ たねやす)から渡された証拠物件管理簿に未記載の物品に手を加えて、新たな証拠物件が見付った様に偽装した報告書を纏めたり……士堅大姿を犯人にする為なら何でも遣った。
後に、回りの状況から見ても針淵絵浬を営利目的で誘拐して殺害した後、死体を遺棄した犯人は、士堅大姿、以外に考えられ無いとの警察がマスコミにリークしたのは、他に疑わしい人物を見付ける事が出来なかったからで……進展が無く警察の威信を失墜させて居た、雨笠鈴子、失踪事件と其れに続く、方丈 燿 、殺人・死体遺棄事件の犯行にも関連付けられると、確信して居たからだった。
しかし、要求された身代金の受け渡し場所に犯人が現れなかった事より、犯人が身代金の受け渡しに指定した場所が不自然で、適当に場所を指定したとしか考えられ無い事だった。仮に自分が犯人だったら、警察が報道協定を締結して居ると想定した上で、身代金の受け渡しの有無に拘わらず、接触後の逃走ルート確保を一番に考えるが、七尾線の羽咋(はくい)駅から少し離れた、千辞(ちじ)駅を身代金の受け渡し場所に指定した事には、疑問を感じた。
仮に金沢駅だったら人通りが多いから、接触する迄、誰が犯人なのか特定し辛い事に加えて、ラッシュの時間帯を選べば、接触後も雑踏に紛れる事も出来る。更に捜査員を配置する必要が有る場所も多く、人員の確保も大変で、予想外のルートで逃走される危険も有る。しかし、寂れた千辞駅は、人影が皆無なので接触する人物を特定し易く、取り囲む民家を借りれば張り込みも容易で、逃走ルートも駅前の細い道を辿った先の幹線道路や集落を抜けた先の農免道路も直ぐに閉鎖出来る事等、余りにも不自然だった。
結局身代金の受け渡し場所に犯人は現れず、警察に通報した事を責める内容の電話が有った後、連絡が途絶えた。翌日、郵送されて来た手紙に記されて有った望梅台公園、発電機跡のコンクリート水槽で針淵絵浬が無惨な姿で発見された。見付かった遺体は、殺害後、発見現場の水槽に投げ込まれたと推測され、最初の脅迫電話が掛かって来た時には、既に死亡して居た可能性が高かった。犯人は、最初から人質を返す心算も無く、暴行を加えレイプした後、絞殺して居た。
警察が士堅大姿に目を付けた訳は……金札令昧子が以前
「隣の士堅大姿が仕事に行かないのは、可笑しい……」
と周囲に触れ回った事から始まり
「無職の士堅大姿は、生活する金に困って居る筈なのに、日中も怪しい気配がする」
と尾鰭を付けた噂話に加え、何かトラブルが有ると
「士堅大姿が怪しい……」
と金札令昧子は、吹聴して回った。其の為、気味悪がった周囲の住民から、警察に苦情が寄せられ、事実を確かめ様とした駐在員と士堅大姿がトラブルに成り、要注意人物として報告されて居たからだった。
特に以前、行方不明に成り今も行方が解らない雨笠鈴子、次に、アタゲ岬で絞殺後遺棄された状態で発見された方丈 燿 の両名共に
「其れらしき幼女を失踪直前と思われるタイミングで士堅大姿の家の付近で見掛けた」
と金札令昧子が証言して居た。其の為、士堅大姿を重要参考人として複数回事情聴取を行い、内偵捜査も行って居が、証拠集めにも難航して居て逮捕立件には、程遠い状態の時に起きたのが、針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件だったからだ。
未解決の重大事件を抱え、批判が集中して居た警察は、新たに発生した針淵絵浬、営利誘拐・殺人・死体遺棄事件、前後の士堅大姿の行動に付いても金札令昧子が
「無職でガソリン代も払えない筈なのに其の日の前後位は、頻繁に車の出入りが有り最後には、ボロい車なのに何故か入念に洗車して居ただけじゃ無く、車内も丹念に掃除機を掛けて居た」
と証言した事に加えて
「換気の為に開けて居る家の窓から、不穏な音と気配を感じたので外に出て見たら士堅大姿が何食わぬ素振りを見せた後、洗車を止めて慌てて家に隠れた」
と金札令昧子が周囲の人達に触回って居た事も聞き込みで得られた為、其れを重視した警察は、他に容疑者として浮かび上がる人物が見付からなかった事と針淵絵浬の両親や近親者等に恨みを持って居たと思われる人物も居なかった事から士堅大姿を重要参考人として聴取した後、逮捕した。
更新日:2022-07-10 05:27:37