- 1 / 15 ページ
1 あの日観た海
この物語は、架空の物語ですので、現在、過去、未来に存在する
全ての現実と一切関係がありません。
1 あの日観た海
トイレから戻った陣代拡音(じんだい ひろね)が部屋を覗くと、集まった女性達を逃がさない様に係員達が取り囲み、壺の様な物を勧めて居た。今日出掛けに母親から渡されたお昼ご飯の、おにぎりとデザートのクッキーしか入っていない紙袋だけが置かれた、自分の席に戻る事が危険な事を悟った陣代拡音は、エレベーターホールに繋がる通路に人影が無い事を確認すると其の儘、会場と成って居たビルを抜け出した。
或るネットのページで見付けた退行催眠を使った無料前世占いの抽選に当選したと記載されたメールを受け取った事が始まりだった。確かに自分で応募した筈だし、無料ならと思ったが……母親は、何かを予感して居たのか当初反対して居たけど……渋り乍も今日は、送り出してくれた。
「朝出掛けに無理矢理渡されたけど、あれが無かったら、逃げられなかった」
と呟いた陣代拡音だったが、其処で語られた内容は、出鱈目としか思えなかった。
「前世は、ヨーロッパの貴族の娘で戦乱の中、暴徒化した自国の領民に惨殺された為、今世は、あえて目立たない平凡な人生を選んだ……そんな感覚が残ってるでしょ」
と霊能力をほのめかす女性の催眠術師に告げられたが、実際に体験した……呼び覚まされた映像は、自分因り少し年上の少女が大人の男性に連れ去られる場面で本能的に危険を感じ物陰に身を潜め乍目撃して居た記憶だった。其の少女の顔も男性の姿も、暴行し無理矢理トランクに押し込んだ、車の色や形そしてナンバー迄も詳細に思い出したが男性の顔だけは、抜け落ちて居た……そして其処で現実に引き戻された。
しかし、蘇った、幼児期の記憶が余りにリアルで背景の海の色が心に引っ掛かったが、其の海が何処なのか判らなかった。
只、自分が幼い時に訪れた事に間違い無いが、記憶が曖昧で誰と一緒だったのか迄は、思い出せなかった。
そんなある日、陣代拡音がSNSで評判の投稿写真をスマホで見ると……言葉を失った。
そう、確かに……あの海だった。
この物語は、架空の物語ですので、現在、過去、未来に存在する
全ての現実と一切関係がありません。
1 あの日観た海
トイレから戻った陣代拡音(じんだい ひろね)が部屋を覗くと、集まった女性達を逃がさない様に係員達が取り囲み、壺の様な物を勧めて居た。今日出掛けに母親から渡されたお昼ご飯の、おにぎりとデザートのクッキーしか入っていない紙袋だけが置かれた、自分の席に戻る事が危険な事を悟った陣代拡音は、エレベーターホールに繋がる通路に人影が無い事を確認すると其の儘、会場と成って居たビルを抜け出した。
或るネットのページで見付けた退行催眠を使った無料前世占いの抽選に当選したと記載されたメールを受け取った事が始まりだった。確かに自分で応募した筈だし、無料ならと思ったが……母親は、何かを予感して居たのか当初反対して居たけど……渋り乍も今日は、送り出してくれた。
「朝出掛けに無理矢理渡されたけど、あれが無かったら、逃げられなかった」
と呟いた陣代拡音だったが、其処で語られた内容は、出鱈目としか思えなかった。
「前世は、ヨーロッパの貴族の娘で戦乱の中、暴徒化した自国の領民に惨殺された為、今世は、あえて目立たない平凡な人生を選んだ……そんな感覚が残ってるでしょ」
と霊能力をほのめかす女性の催眠術師に告げられたが、実際に体験した……呼び覚まされた映像は、自分因り少し年上の少女が大人の男性に連れ去られる場面で本能的に危険を感じ物陰に身を潜め乍目撃して居た記憶だった。其の少女の顔も男性の姿も、暴行し無理矢理トランクに押し込んだ、車の色や形そしてナンバー迄も詳細に思い出したが男性の顔だけは、抜け落ちて居た……そして其処で現実に引き戻された。
しかし、蘇った、幼児期の記憶が余りにリアルで背景の海の色が心に引っ掛かったが、其の海が何処なのか判らなかった。
只、自分が幼い時に訪れた事に間違い無いが、記憶が曖昧で誰と一緒だったのか迄は、思い出せなかった。
そんなある日、陣代拡音がSNSで評判の投稿写真をスマホで見ると……言葉を失った。
そう、確かに……あの海だった。
更新日:2022-05-15 15:54:24