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蝋燭

灯す明かりは頼りなく
夢のように揺らいでる
手渡された燭台に
風除けなんか当然なくて

行先は一つだけ
募る恐怖と動く足
分離した思考回路は
盲目的に手を握る

勇気を出さなきゃいけなくて
それでも頭は蝋の中
私に道を開けるなら
いっそ無駄だと切り捨てて


照らす世界はまだ暗く
拒むように肌寒い
歌いながら吹く風は
穏やかだけどとても怖くて

逃げ道は一つだけ
埃まみれの階段で
ナイフの柄 握りしめても
現実的にはなれなくて

勇気を出してもそれまでで
心が求むは溶けた蝋
私に傷がついたなら
もう終わりだと許してよ


勇気がないならこのままで
頭も心も溶けていく
私を生かすくらいなら
蝋燭のように死なせてよ

どうせ役には立たなくて
それでも明かりは燃えている

更新日:2022-03-21 22:56:28

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