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ちくわぶ

挿絵 640*400

ちくわのような筒状で、なると巻のようなギザギザのあるちくわぶは、小麦粉を原料とした、言わばちくわのような形の生麩です。だから漢字では「竹輪麩」。東京を中心に関東圏では定番です。

東京都のお隣りの神奈川県ではほとんど食べられておらず、その理由として蒲鉾など練り物の本場である小田原などでは、建長寺などの仏教関係者以外は代用品の必要性もなく、一般的には好まれなかったのだろうと推察される。
食品メーカーの紀文では「京生麩が原型であることが考えられ、精進料理の麩を元に関東地方で作られた説がある」という説を示している。

以前は東京(首都圏)ローカルの食材であったが、近年はテレビなどで取り上げられて知名度が上がり、関東地方以外においても全国チェーンの大手スーパーなどで真空パックの製品が取り扱われていることがある。

その詳しい製法は、グルテンを多く含んだ強力粉を原材料として使用し、これに水と少量の塩を加えて何度も練り上げ、腰を出す。これを切り分けて何度も引き延ばすことで、グルテンがまんべんなく結合される。
延ばした生地はしばらく寝かせて組織を安定させた後、生地を巻き付けては引き伸ばすことにより、断面は何層にも重なる構造となる。
これを型に入れて25分ほど高温で茹でて高温のうちに型から抜き、水を吸わせて柔らかくすることで完成となる。これにより強いコシのあるモチモチした食感となり、外側に歯車のようなギザギザが付いた竹輪のように穴が空いた形状となる。

もちもちの食感を楽しむ食材であり、煮る前に一度下茹でを行うことで、粉っぽさが抜けて食感が向上するという。少量の塩以外の調味料が使用されておらず、ちくわぶ自体には味がないためだし汁の味をよく吸わせて食べる。
クタクタになるまで煮込んだものを好む人もいるが、煮込み過ぎるとでんぷんが溶け出してつゆが濁ってしまうため、家庭料理以外では浅めに煮られることが多い。


更新日:2022-03-06 10:55:05

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