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「おでん」とは何か?

挿絵 640*427

「おでん」は、漢字で書くと「お田」。語源は味噌田楽である。
平安時代末期に中国より豆腐が伝来し、拍子木型に切った豆腐を串刺しにして焼いた料理が生まれた。室町時代には、豆腐やこんにゃく、あるいは里芋などの野菜を串に刺して焼き、味噌に砂糖や味醂と混ぜて塗り、柚子や木の芽などで香りを付けた味噌田楽が広まった。

農家の囲炉裏端などでも自然発生的に作られるようになった焼き田楽であるが、囲炉裏に下げられた鍋で具材を煮る「煮込み田楽」も作られるようになった。串焼きは焼き加減が難しいが、これなら「放ったらかし調理」が可能である。西洋で暖炉やストーブの上に載せた鍋でシチューなどが広まったのと同様である。農作業の間でも、弱火でじっくりと長時間調理が進む。

江戸庶民に濃口醤油が普及するのは、銚子や野田で大量に生産が始まった江戸時代中期以降である。それまでは、蕎麦も味噌味のたれで食べられていた。
「手前味噌」という言葉があるように、醤油と違って味噌は家庭でも容易に仕込むことが可能な調味料であった。

おでんの材料となる、こんにゃくや豆腐、大根などは農産物で作られるが、漁村などでは大量に獲れる魚を利用し、刺身や焼き魚以外に余った魚を加工して、干物と共に蒲鉾などの練り物普及していた。
醤油が普及して煮込み料理が広まると、煮込みおでんの具としての利用が広まったが、静岡や名古屋では、それ以前から味噌味の煮込みおでんも食べられていた。

更新日:2022-03-06 09:07:17

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