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初出勤 その2

 医療室での無駄話はまだ続いていた。

チ「この世の支配者層はもう必要ないのか?優れた人間はさっさとどこかへ消去して、バカやブスや愚か者だけでやっていくつもりか。
 どこにだって悪人はいるぞ。いじめっ子がいなくなった途端、今度は大人しかった奴らの中から、新たにそういうのが出てくる。自分より弱いやつを押さえつけて、自分がその上に君臨して、仲間を作って奴隷を管理しだす。人間なんて変わらない、やる事はたいてい誰も同じなんだよ」
レ「だから上に行った奴から、どんどんアセンションしていけばいいだろ。オリジナリズムに沿わなかったり、固まって力を得たい人間には、もっとより良い世界があると言ってる」
チ「お前‥ユースを消すつもりなんじゃないだろうな」
レ「ユースは俺の作った避難所だ。今度の変化で奴がどうなるのか知らないけど、奴の本質は悪じゃない。悪というのは、人の不幸を食って生きてる奴の事だ」
チ「じゃ俺は?張家の俺は何もかも持ってる。人々を踏みつけにした上で生きてる」
レ「お前だって違う。俺が気に入ってる奴はだいたい悪じゃないよ。会った途端、それは分かる。いわば振るい分けしてきたようなもんだな。別に俺が神みたいな存在だと言ってる訳じゃないが…だけど自分なりの識別は出来たからしてきた」
チ「なら聞かせろよ。老住はどうだ?あいつは悪に決まってる。悪の親玉だ。だけどお前はそれを愛してるじゃないか」
レ「きっと悪の最終兵器なんだろうな。俺にだって奴との関係がどうなるのか、最後まで分からないよ。だけど消す事に何の躊躇も持ってない。あいつはあいつの人生の通りに生きるんだからな。
 あいつが消えようと生き残ろうと、俺は聞かれる度に愛してるって答えるだろ。それが俺の反撃方法だ。俺が愛する事で、確実に奴は追い込まれてる。それでもあいつは俺の愛を得ようとする。行為を止める事が出来ない」
チ「悪魔め‥滅ぼすために愛してるのか。それは不純な愛じゃないのか」

 そこへ再びユネストが口を出した。
ユ「愛する事はレイクの本質だ。似合わないものを求めてるのは老住教授の方だ。矛盾は向こうに起きてくるはずだ」

更新日:2022-02-25 11:21:10

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ORIGIN180E オリジナリズム編 13