• 12 / 47 ページ

winding me

「おーかーえーりー!」
ユニゾン。ああ、毎度のお客さん。
うちの天使・ユノと、さらなる天使・テミナ。

ふたりでパタパタ、スリッパ鳴らして。
あっちではこんな文化、ないんだけど。
どうもこの日本式が好きらしい。
玄関先に、俺を迎えにきて。
ふたりともぽわぽわふわふわな髪型で。
いつ買ったのか、おそろいのカフェエプロン。……なんじゃそら。

でも……これがまた……ふたりして超絶かわいいんだよな……。
なんかしらんけど、ユノは鼻に、テミナはほっぺにクリームみたいのついてるし。

「何、してたの?」
甘いにおいがする。近づくと、ユノは俺をふわっと抱きしめる。
「ん? あのね、ロールケーキ!」
「ロールケーキ?」
「6月6日はね、ロールケーキの日なんだって。知ってた?」
テミナが若干ドヤ顔で言う。
「……しらねえ」
ほーらしらなかったぁー! ふたりして向かい合って両手をパンパンあわせて喜び合う。
……そんなに喜ぶことか?

「あのねえ、この前福岡だったでしょー」
「うん」
「あの近くのねえ、小倉? 北九州でね、6月6日をロールケーキの日って言ってるんだって!」
「へー」
「9月9日もそうらしいよぉー」
ま、どっちでもいいってことだな。うん。

「で? なにやってんの?」
ユノはまた、俺にくっついて。
んふ! ってほっぺたくっつけるから。
鼻の頭のクリームが気になってしょうがない。

指ですくってとってやる。ユノは、わあ! って驚いてる。
「あのね、ロールケーキって、シンプルだから、デコったの!」
テミナが幸せそうに笑う。
「で……デコった?」
「うん! クリーム塗ってねえー、いちご飾ってねー」
でたなイチゴ。もう時期すぎたやろうが。
でもぉー、ユノヒョンほとんど食べちゃったよねー!
んふ! だあってえ~おいしかったんだも~ん。

ってな感じでデレデレんふんふしながら歩くから。
玄関からキッチンまでもわずか数メートル程度が進まねえ進まねえ。
はいはい、じゃどんなふうに飾ったか、見せてよ。言えば。
イエーイ! って、なんだそのノリ……家の中でも恥ずかしい……なんか恥ずかしい……。

更新日:2022-01-12 20:19:16

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook