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小説

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ボクが笑わない理由

美しい人の
美しい姿だけを
僕は見つめていたい

だからボクは笑わない
ただあなただけをじっと見つめるんだ。

愛想がなくても務まりそうな。
バイト。深夜のコンビニ。どうせゲームで起きてるんでしょ、って。
こんな時間、やってくるのは大体野郎ばっかり。かわいい女の子はお水か彼氏持ち。
明らかに挙動不審なのとか、同じものしか買わない奴とか、一瞬緊迫するタイプとか。
でもここ、警察近いからそこまで治安悪くない。

週2日。暇つぶしで金ももらえる、その程度のバイト。
同じシフトの社員が結構しっかりしてるから、ボクは基本レジに立ってればいい。
あんまり暇なら店の中うろついて商品整理したり。
そんな、ある日。

こんな、
時間に、
リーマンだ。

いつもは人が入ってくる前に気づいて、それとなく気づかないふりしてレジの奥引っ込んで。
いらっしゃいませも何も言わずにあ、お客さんきたんだね的な態度してたけど。

その日は友達とぎりぎりまで遊んでて疲れたからわりとダルくて。
客が来たのも気づかないくらいボーッとしてたんだよね。

駅から近いから夜遅くても人が来ることは来るんだけど。
さすがに終電後はまばらだし。
来ても車やバイクなんかで。
物音も立てずスッと来たってことは徒歩に違いない。んで不意打ちのチャイムに
「いらっしゃいませ」ってボソッと反応しちゃったんだけど、背中見たら。
たぶん明らかに学生ではなさそうな体つき。メガネをかけた横顔もかなりCOOL。
なぜか目が離せなくて。

雑誌ラックをすーっと通り抜けて奥のジュースを見に行く。
まだ見えない全容をついつい目で追う。
あんまりガン見しすぎたのか、こちらを向きそうになって。
やっべ。視線を逸らす。目が合うにはまだ早い。

リーマンはそのあとパンのあたりを物色してからレジに来て。
買ったものといえばいちごオ・レとチョコとアイス。女用か?
金の受け渡しはカルトンで。顔すら見ないまま。

金を拾う指の、綺麗なこと。




更新日:2022-01-10 20:52:06