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誰より好きなのに
気付けば目で追っている。自分でもよくわからない。
彼女に会うために退社後、駅に向かう。何かを感じて顔を上げれば。
あの人、だ。同じ会社で見かける顔。名前は知らない。
向こうも俺を見てなんとなく知ってる? って顔をする。
俺と同じくらいの背丈、肩幅が広く、頭が極端に小さい。モデルみたいだ。
目はそれほど大きくはない。切れ長で黒目がち。
鼻筋はシュッとしてて、鼻自体は小さい。下唇が肉厚で柔らかそう。
見た目はとにかくクール。
一瞬、目が合ったけど、すぐにそらされた。
そりゃそうだ、知り合いじゃない。
ただ見たことがある気がするだけだ。
駅に向かう俺と、会社に戻ろうとするあの人。
雑踏の中、肩がぶつかるくらいの距離ですれ違った。
鼻をくすぐる甘い香り。近くを通る女性のものだろうか、それくらい。
爽やかな甘さの余韻。
思わず立ち止まる。あの人、だよな。会社に戻るのかと思っていたけど。
女に会っていたんだろうか。振り返り、その背中を見つめてから。
我に返って駅に向かった。
あの人に恋人がいても俺には関係ない。
俺だって今から彼女に会いに行くんだ。
そう、自分に言い聞かせながら。……何故?
彼女に会うために退社後、駅に向かう。何かを感じて顔を上げれば。
あの人、だ。同じ会社で見かける顔。名前は知らない。
向こうも俺を見てなんとなく知ってる? って顔をする。
俺と同じくらいの背丈、肩幅が広く、頭が極端に小さい。モデルみたいだ。
目はそれほど大きくはない。切れ長で黒目がち。
鼻筋はシュッとしてて、鼻自体は小さい。下唇が肉厚で柔らかそう。
見た目はとにかくクール。
一瞬、目が合ったけど、すぐにそらされた。
そりゃそうだ、知り合いじゃない。
ただ見たことがある気がするだけだ。
駅に向かう俺と、会社に戻ろうとするあの人。
雑踏の中、肩がぶつかるくらいの距離ですれ違った。
鼻をくすぐる甘い香り。近くを通る女性のものだろうか、それくらい。
爽やかな甘さの余韻。
思わず立ち止まる。あの人、だよな。会社に戻るのかと思っていたけど。
女に会っていたんだろうか。振り返り、その背中を見つめてから。
我に返って駅に向かった。
あの人に恋人がいても俺には関係ない。
俺だって今から彼女に会いに行くんだ。
そう、自分に言い聞かせながら。……何故?
更新日:2022-01-08 14:31:38