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子鹿のてがみ

いつか一緒にいられなくなる日が来るなら。
早めに離れたほうがいいって言ったの誰だっけ?
ヒニムヒョンみたいだねって、笑ったけど。

結局寂しがったのはあなたで、クマのぬいぐるみ抱っこして眠ってたから。
僕が通った。何度も、あなたのうちに。

僕はあなたのことは永遠に理解しきれないと思う。
だけど、だからこそ僕はあなたに惹かれるのだろうな。
放ってはおけないと思う。ダメだってわかってても、世話を焼いてしまう。
僕がそばにいたから、あなたは甘えることを許したのかもしれないね。
今までは僕以外にも、甘えさせてくれる人がいたけど。
俺はリーダーだって言って、かっこ悪いとこ見せたがらなかったじゃない?
ふたりに、なったら。

僕をたくさん引っ張って、殻に閉じこもる僕を根気よく口説いて。
天岩戸から引きずり出したじゃない。
だから今僕はあなたの隣に。

……いないんだよね、これが。
あなたは新しい世界へ旅立った。否応なしに課された使命に。
燃えて、旅立って。

これはあなたとの日々の回想と、そしてあなたへのてがみ。

更新日:2022-01-07 21:02:00

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