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レ「馬鹿なんじゃない、鈍いだけだよ。ルーが感覚機能を制限してたんだ。色々と中で管理してくれてたんだよ」
チ「バカね、何でその時だけ年を戻してもらわなかったのよ。もう女なんてどうでもいいの?ツィーニャみたいな宝物を粗末にしたら、バチが当たるわよ」
レ「もう当たってるさ。俺だって、いつになったら自由になって彼女を迎えに行けるんだろうって、ずっと機会を待ってたけど。…もうダメかもしれない。自分が信じられないんだよ。俺は人を愛せないんだ、きっと」
チ「あんたの都合のいい世界にしたくせに、なに弱気になってるのよ。ユースの手前、彼女をあきらめなくちゃと思ってるんでしょ。あんた女じゃないんだから、貞操なんて誓わなくていいのよ」
 レイクはうつむいて黙った。
チ「まさか、それを要求されたの?」
レ「あいつはそんなこと言わないさ。だけど‥結局そんなもんだろ?どんな関係だって、大なり小なり」


 やがてチェリーはハーッと息を吐いて、こう言った。
チ「そうね‥私も結局、型にはまってたのかな。男女間で何かあるべきだって考えに。出会ったら、くっつくか別れるかしなくちゃならない。何かしらの感情を持ってなきゃならない。気に入ったら付き合って、それを進展させていかなきゃならない‥。
 ───本当の事を言えば、女は結構いい加減よ。都合のいい時だけ相手がいればいいな‥と思うのよ。社会から守って欲しい時だけね。男はセックスしたい時だけでしょ?それに家事をして欲しい時、精神的に疲れて癒してほしい時、自己実現したい時…
 レイク、あんたあの宣言で、“家族”の意味の見直しまでしたのよ。それは正しい方向だと思うわ。家族、夫婦、恋人の前に、まず個人よ。
 それって私たち幼なじみの生き方に似てるわよね。誰もそんなこと唱えてみなかったけど、まるで人生のテーマのようにいつも間に流れてたわ。みんなそれぞれ孤独だったけど、その意味をちゃんと把握してた。違う?」
レ「ああ」
チ「だから人との関係なんてなるようになるのよ。あんたとツィーニャだって、会えるようになれば会えばいいんだし。もう駄目かもしれないし、ひょんな事でくっつくかもしれない。

更新日:2021-12-30 10:48:28

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