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第六部「完結編」

 完結編では、イッシュ地方で活動するプラズマ団ハンサムと共に調査する形で物語が進んでいきます。

 その前にノワールの過去について一通り説明しましょう。その方がわかりやすいと思うので。

 ノワールはトレーナーズスクールで優秀な成績を修める将来有望なトレーナーのタマゴでした。

 ある日、ノワールは森で一匹のポケモン――ゾロアと出会います。

 ゾロアは技を上手く当てられないことに悩んでいたのですが、ノワールが「くろいメガネ」をプレゼントしてやったことで克服します。

 技を当てられなかったのは……「目が悪かったから」というシンプルな理由だったからです。

 これがきっかけでノワールとゾロアは仲良くなります。

 そして月日は流れ、ゾロアがゾロアークに進化した頃。

 凶暴なサザンドラが森を焼き払うという事件が起きました。

 ノワールはゾロアークと協力して森のポケモンたちに避難を促していきます。

 そんな中、元凶であるサザンドラと遭遇してしまいバトルをすることに……。

 圧倒的な力量差を前に、ノワールは勝てないことを悟ります。それどころか、このままではゾロアークの命が危うい状況だということも。

 ノワールは逃げることを提案しますが、なぜかゾロアークは一歩も退くことなくサザンドラに立ち向かっていきます。

 いつもは言うことを聞いてくれるのになぜなのかと疑問に思いつつも、このままではいけないと、最後の手段をとることにしました。

 ノワールは持っていた空のモンスターボールでゾロアークを捕獲。ボールに閉じ込めた状態で炎に包まれる森から脱出します。

 そしてサザンドラが森を去り、一段落がついてから、ノワールはゾロアークをボールから出してやります。

 するとゾロアークは走り出しました。

 ノワールが追い掛けると、そこはサザンドラと闘っていたすぐ近くの洞窟でした。

 そこでは粉々に砕けたタマゴの殻が散らばっており……。

 その瞬間、ノワールはすべてを悟ります。

 ゾロアークは自分のタマゴ……子どもを守るために、サザンドラに立ち向かっていっていたのだと。

 その意志を、自分がゾロアークをゲットしたことで、モンスターボールの中に封じ込めてしまったのだと。

 そのせいでゾロアークのタマゴは……。

 自分の犯した罪に苛まれるノワールでしたが、反対に世間の声はノワールを褒め称えるものばかりでした。

 森のポケモン達を避難させたことで多くの命を救ったことには違いないからです。

 ゾロアークの大事なものをモンスターボールで奪っておきながら、賞賛を浴びているという状況に、ノワールはなにが正しいのかわからなくなっていました。

 これがきっかけで、ノワールはポケモンを捕獲することに対して強いトラウマが刻み込まれてしまいます。

 ノワールが自分でポケモンをゲットすることなく、ロケット団が奪ってきたポケモンを使っていた理由はこれです。

 ロケット団に入ったのも、何が正しいのかを見つめ直すために、あえて悪の側に立つことで何かを掴もうとした……のだと思います。

 ごめんなさい。この辺のつじつま合わせがどうにも上手くいかなかったんです! そういうことにさせて!


 ここで少し時間を巻き戻し、サザンドラが森を焼き払っている最中。

 森にはノワールとは別に一人の少年がいました。

 ポケモンと言葉を通わせることの出来る能力を持った少年です。

 彼の元に一人の男――ゲーチスがやってきます。

「――愚かな人間のせいでサザンドラは怒り、森を焼き払って多くの犠牲を出してしまいました……こんなことが二度と起こらぬよう、あなたが王となって世界を変えるのです!」

 その言葉に頷き、少年はNという名前と共にプラズマ団の王の座につくことになります。

 プラズマ団は、トレーナーからポケモンを解放させることを目的とした宗教じみた組織なのですが……。

 サザンドラに森を焼き払うように仕向けた真犯人はゲーチスです。

 ゲーチスはポケモンと話すことの出来るNの能力に前々から目をつけていました。

 Nに凄惨な光景を見せつけることで、ポケモンと人間は切り離すべきという思想を植え付けさせ、王として担ぎ上げるためのマッチポンプだったわけです。


更新日:2021-11-12 18:23:32

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