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ACT.4
そして問題も解決し、丈二と洋一は店を出て街を歩いていた。
冬の西日が眩しく2人の顔を照らし、冷たい風に肩を縮こまらせ、2人とも無言で歩いていると、目の前に人気のあまりない神社が見えてきた。
腹が減ってる訳でもなく、コレと言った用事がある訳でもない2人は何となく敷地に入って行く。
「なぁ.....兄貴。」
「ん?」
沈黙を破って洋一が声を出すと、丈二は立ち止まって顔を見つめた。
すると、洋一は少しうつむき加減でもじもじしながら話し出す。
「あのさぁ...
さっきは...ありがとうございました。
俺のコト、庇ってくれただろ?」
「別に...
かばおうと思ってやったワケじゃねーよ。
俺も前から杏子さんのことはよく思ってなかったしな。」
「でも、あんなに言ってくれて、俺スゲェ嬉しかったんだぜ?」
「そうかい。」
ぽつりと呟いて丈二はまた歩き出す。
その後ろを洋一が追いかけるようについて行った。
「なぁ、洋一。」
「なんだい兄貴?」
「お前、俺と江原の兄貴だったらドッチ取るんだい?」
「エッ?
あ、兄貴に決まってるじゃないすか...」
洋一の言葉を聞いて、丈二は再び足を止める。
これから先、また何が起きるか。
少なからずとも様々な事件が降りかかってくるであろうことは既に分かっている。
質問した言葉は、洋一がどう答えようと今の丈二にとって対した意味は無かった。
「洋一。
お前がこの先誰の下につこうと、ドコの組に入ろうと、それはお前の人生だ。
俺がとやかく言う事じゃねえ。
ただ、損得だけじゃなく、ちゃんと考えて物事を判断しろよ。
極道として生きてくってコトは...
そう甘いモンじゃねえ。
いくらゼニがあったってどうにもならねえコトなんて沢山あるんだからな。」
前の人生において、洋一のお陰でどれ程救われた事があったか。
前の人生に戻る事は出来ないし、戻れたとしてもその時の洋一は既に死んでいる。
ならばせめて、この時代の洋一は少しでもマシな人生を送って欲しいと純粋に思っていた。
「な、なんか良く分からねえケド...。
兄貴、俺頑張るよ。」
「そっか。
そんじゃ、ソープ? ってこの時代じゃ言わねえんだったっけな。
あれだ!
トルコ! お祝いにトルコ風呂連れてってやるよ!」
「ヤッターーーー!
ようし、フィーバーするぞぉ!!」
洋一は両手でガッツポーズをすると、丈二はその姿をみて軽く微笑みながら歩き出した。
「ところでなんのお祝いですか?」
「ああ?
あれだよ、オメーが生き返ったお祝いだよ。」
「は?
俺死んでねえんスけど??」
「いちいちうるせーなぁ。
とにかく俺にとってめでたい事があったんだよ。
それでいーだろが!」
意気揚々と歩く2人。
ところがその次の瞬間、丈二は大事な事を思い出し思わず叫ぶ。
「ああーーーーっ!!
そうだ! こないだ近田達に酒奢っちまったから俺金持ってねえんだった!
ホレ、あん時10人近くで飲んだだろ?
今オケラだったワ。」
「えええぇぇぇぇ....」
思わず頭を掻きながら丈二は洋一を見ると、さっき説教を食らってた時以上に落ち込んだ洋一の顔が見えた。
「洋一、す、すまねぇ。
トルコはまた今度奢ってやるからな。」
「やっぱヤクザやっててゼニねえのってツラいよなぁ...。」
「ま、まぁ、そりゃあある程度はね。
でも、そんなに言うなよぉ...。」
頬を赤らめて愛想笑いする丈二とこの世の終わりの様に落ち込む洋一。
2人の間に北風がぴゅうぴゅうと吹き荒んでいた。
冬の西日が眩しく2人の顔を照らし、冷たい風に肩を縮こまらせ、2人とも無言で歩いていると、目の前に人気のあまりない神社が見えてきた。
腹が減ってる訳でもなく、コレと言った用事がある訳でもない2人は何となく敷地に入って行く。
「なぁ.....兄貴。」
「ん?」
沈黙を破って洋一が声を出すと、丈二は立ち止まって顔を見つめた。
すると、洋一は少しうつむき加減でもじもじしながら話し出す。
「あのさぁ...
さっきは...ありがとうございました。
俺のコト、庇ってくれただろ?」
「別に...
かばおうと思ってやったワケじゃねーよ。
俺も前から杏子さんのことはよく思ってなかったしな。」
「でも、あんなに言ってくれて、俺スゲェ嬉しかったんだぜ?」
「そうかい。」
ぽつりと呟いて丈二はまた歩き出す。
その後ろを洋一が追いかけるようについて行った。
「なぁ、洋一。」
「なんだい兄貴?」
「お前、俺と江原の兄貴だったらドッチ取るんだい?」
「エッ?
あ、兄貴に決まってるじゃないすか...」
洋一の言葉を聞いて、丈二は再び足を止める。
これから先、また何が起きるか。
少なからずとも様々な事件が降りかかってくるであろうことは既に分かっている。
質問した言葉は、洋一がどう答えようと今の丈二にとって対した意味は無かった。
「洋一。
お前がこの先誰の下につこうと、ドコの組に入ろうと、それはお前の人生だ。
俺がとやかく言う事じゃねえ。
ただ、損得だけじゃなく、ちゃんと考えて物事を判断しろよ。
極道として生きてくってコトは...
そう甘いモンじゃねえ。
いくらゼニがあったってどうにもならねえコトなんて沢山あるんだからな。」
前の人生において、洋一のお陰でどれ程救われた事があったか。
前の人生に戻る事は出来ないし、戻れたとしてもその時の洋一は既に死んでいる。
ならばせめて、この時代の洋一は少しでもマシな人生を送って欲しいと純粋に思っていた。
「な、なんか良く分からねえケド...。
兄貴、俺頑張るよ。」
「そっか。
そんじゃ、ソープ? ってこの時代じゃ言わねえんだったっけな。
あれだ!
トルコ! お祝いにトルコ風呂連れてってやるよ!」
「ヤッターーーー!
ようし、フィーバーするぞぉ!!」
洋一は両手でガッツポーズをすると、丈二はその姿をみて軽く微笑みながら歩き出した。
「ところでなんのお祝いですか?」
「ああ?
あれだよ、オメーが生き返ったお祝いだよ。」
「は?
俺死んでねえんスけど??」
「いちいちうるせーなぁ。
とにかく俺にとってめでたい事があったんだよ。
それでいーだろが!」
意気揚々と歩く2人。
ところがその次の瞬間、丈二は大事な事を思い出し思わず叫ぶ。
「ああーーーーっ!!
そうだ! こないだ近田達に酒奢っちまったから俺金持ってねえんだった!
ホレ、あん時10人近くで飲んだだろ?
今オケラだったワ。」
「えええぇぇぇぇ....」
思わず頭を掻きながら丈二は洋一を見ると、さっき説教を食らってた時以上に落ち込んだ洋一の顔が見えた。
「洋一、す、すまねぇ。
トルコはまた今度奢ってやるからな。」
「やっぱヤクザやっててゼニねえのってツラいよなぁ...。」
「ま、まぁ、そりゃあある程度はね。
でも、そんなに言うなよぉ...。」
頬を赤らめて愛想笑いする丈二とこの世の終わりの様に落ち込む洋一。
2人の間に北風がぴゅうぴゅうと吹き荒んでいた。
更新日:2021-10-22 21:48:23