官能小説

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第一話 以来

 「ことの始まりは、あの教団が、城塞の近くでキャンプを設営したことでした。
 彼らは、愛の女神リリスを崇拝していると語り、あらゆる性のタブーを解放し、愛と平和の内に暮らそうと、人々を誘惑しました。
 最初は、私たちリコイヌの民も、連中を信用せず、固く門を閉ざしていたのです。
 しかし、連中が、門の直ぐ外で、絶世の美女たちに裸踊りをさせるようになると、それを見学に、多くの男たちが釘付けになり、一人また一人と、門を抜け出して、教団と密通する者たちが現れました。
 また、時を同じくして、城塞内には、売春を働く女たちも増え、後で分かったのですが、彼女らも、あの教団に、裏で入信していたのです。
 女たちというのは、いかにも身なりが良く、力のありそうな男が現れただけで、コロッとやられてしまうのですね。
 城塞の領主であるリコイヌ伯は、事態を重く見て、軍勢を教団に差し向けたのですが、その時には、城塞の重臣の多くも、教団の虜になっており、討伐作戦は、連中を、城塞内に招き入れることにしかなりませんでした。
 民衆や兵士は、不満を爆発させ、軍の司令官は、彼らが武装をしていないという理由で攻撃するのを断固として断り、それを、重臣たちも擁護して、、教団は傷付けずに、城塞の牢獄で幽閉するだけで良いと伯爵を説得しました。
 ほどなくして、その牢獄が、リコイヌの政治の全てを操るようになりました。
 やがて、伯爵家の一族も、全て連中に骨抜きにされ、リコイヌは、完全に教団の手に陥りました。
 今では、男も女も、教団の性奴隷のように扱われ、女は、教団によって管理され、男は、教団のために野に放たれては、盗賊のような行為を繰り返させられています。
 彼らは、略奪品をたんまり持ち帰ってきて始めて、教団の女との性行為を許されるのです。」

 淡々と語るその老人は、話し終えると、その深く落ち窪んだ目を更に伏せた。
 その声には、諦めと悲しみが込められており、抑揚のない話し方ながら、聞く者の耳を集中させずにはおかない。

 「リコイヌと言えば、難攻不落の城塞で有名だ。あの東部地域で、ゴルゴンの軍を寄せ付けない、数少ない小国の一つだったな。」
 「はい、私たちの城塞は、谷の奥深くに作られ、三方を切り立った崖に囲まれております。都市の出入りは正面だけで、その正面を、高く厚い城壁で守っています。あのゴルゴン軍も、幾度かの不毛な侵攻を試みてきましたが、いつも、這々の体で逃げ帰ったものです。」
 「なるほど、力で侵せぬ相手に、淫魔を送り込む。よくある古典的な手だ。」
 「淫魔とは?」
 「淫魔も知らないのか……やれやれ、城塞に引きこもっている連中は物を知らない。淫魔とは、特殊な魔術を施された男女が生んだ魔物を、幼い頃から性的に調教して育て上げられる、サキュバスやインキュバスのことだ。強烈なフェロモンで人を誘惑し、性行為によって精神を支配する。生殖能力はなく、支配された集落は老人だらけになると捨てられ、全滅する。あんたは老いてるお陰で助かった身か?」
 「いえ、それ以前に、私にはあそこがないので……」
 「なんだ宦官か。一体何をして切り取られた?」
 「何も。幼い頃に奴隷として売られ、後宮の管理をするためにこのような身にされたのです。」
 「ふん。滅ぼされても仕方ない連中だったわけだ。わざわざ助けてやる義理もないんじゃないか?」
 「しかし、生涯をかけて働いてきた国なのです。あそこ以外に、私には居場所もありません。あなたは、このような仕事にかけて、右に出る者が居ないお方と聞いてきたのですが。」
 「淫魔は対したことはないが、リコイヌ城塞の潜入には骨が折れそうだ。」

更新日:2022-03-10 01:12:53

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