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浮田幸吉

挿絵 480*264

ドイツ人のリリエンタールがグライダーで飛行に成功する百年も前に、日本で空を飛んだ人間がいます。その男の名は浮田幸吉。表具屋だったため、「表具屋幸吉」と言われた人物です。

岡山県玉野市で生まれた幸吉は、天明5年(1785年)7月 、岡山城下・旭川に架かっていた京橋から、颯爽と空に舞いました。橋の高さは10mほどで、そこから数十m滑空し、土手に墜落しました。当時29歳の快挙です。

幸吉の飛行理論は簡単で、「鳥の羽と胴体の比率を自分に当てはめて翼を付ければ、空を飛べる」というものです。それで竹で作った骨格に和紙を張り付けて翼を制作したのでした。

しかし、時代が時代だけに、幸吉は岡山藩からとがめられ、所払い(追放)となってしまいます。幸吉は今の静岡市に移り住みますが、安倍川でも飛行に挑戦します。で、ここも所払いとなって、今の磐田市に移りました。

幸吉の伝説が流布する一方で、実はそれより前の琉球で、世界で始めて空を飛んだ男がいたとも言われます。それが安里周当で、琉球王朝の花火師でした。後に「飛び安里」と呼ばれますが、幸吉より早い1780年頃には空を飛んだとされています。

更新日:2021-09-14 06:25:47

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