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8月10日 雨傘男

 こんばんは。ここしばらく天気がよくありませんでしたが、今日からはよくなりますかね。・・・台風ですか?もう過ぎましたかね。台風一過という言葉もあるくらいですから、これからは濡れる心配もありませんね。
 ・・・。私はよく濡れるんですよ。傘を忘れることも多かったですし・・・ものがなくなるんです。傘にせよ、筆記用具にせよ、ノートにせよ、本にせよ、教科書にせよ。・・・もう気にすることもありませんが。けれど本当に、傘は昔からよくなくなるのですよ。仕方なく折り畳み傘を常に持ち歩くようにしたのですが、それでも・・・というより、そのせいで余計に忘れやすくなり、そのうえまだなくなることもあり。雨にはよく濡れるのです。
 ・・・雨はいいものですよ。何しろ音がいい。雨独特の空気も好きなんです。静かで、濡れていて、柔らかく・・・激しいときもありますが、それはそれで。困るのは病のもとになることや・・・これはすでに治療法等が確立し、昔ほどの脅威ではないのでしょうが、川が氾濫することは今も昔も恐ろしいことです。飲み込まれ押し流されと、あらゆるものが被害を受けますからね。
 雨の話ばかりしても仕方がありません。今日は雨に関する話をいたしましょう。私のようなものにはありがたい、雨傘男の話です。
 さて。
 雨傘男というのは、都市伝説として語られる怪人物です。口裂け女や人面犬などと同じ類ですね。まあこういったものは、得てして特徴がそのまま呼び名として用いられるものですが、雨傘男も例に漏れず単純なものです。雨傘です、つまりは。
 雨傘男は、雨の日になると、とあるバス停だとか、曲がり角だとか、廃屋だとか、色々言われますが・・・ともかく、ある決まった場所に現れます。真っ黒い雨合羽に真っ黒い長靴という出で立ちで、大量の、やはり真っ黒い雨傘を腕にぶら下げているそうです。そして、傘を忘れて雨に濡れてしまった人へ、その黒い雨傘を貸してくれるのだそうです。
 傘を借りる際には破ってはいけない決まりがあります。ええと。ひとつ、傘は必ず翌日に返すこと。借りた場所へ置いておくだけでいいそうです。ふたつ、借りた傘は一人で使うこと。みっつ、もし傘が壊れた時は、白いリボンをつけて返すこと。以上です。・・・はい。以上です。

更新日:2021-08-30 01:12:43

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