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処女(おとめ)の聖なる力

うら若き蘭佳梨螺(ランカリラ)にとっては

与り知らぬことであったが、

「シン」が、蘭佳梨螺(ランカリラ)に

見出したのは、

訪れるべき「宿命」を示す

つぶらな瞳であった。

蘭佳梨螺(ランカリラ)は、

「古代エジプト文明」において

「太陽神」と崇められし

古えの神「ラー」の血を曳く、

「孫娘にあたる、魔女」である。

「ラー」の「魔力」は、

女系の、直系の血筋にあたる「魔女」に、

とりわけ色濃く、受け継がれているといわれる。

そして、蘭佳梨螺(ランカリラ)は、

「ラー」の末娘の、そのまた末娘にあたり、

最も強大な「力」を、

「ラー」より受け継ぐべき定めの

処女(おとめ)であった。

さらに、蘭佳梨螺(ランカリラ)は、

京都祇園の「芸妓」の血を

その身の半分に、色濃く受け継いでおり、

「ラー」の直系の血筋にあたる

「魔女」たちのなかでも、

際立つ美貌の持ち主であった。

そして、蘭佳梨螺(ランカリラ)は、

内気な性分の少女で、

その生涯において、清く身を処してきたため、

「処女(おとめ)の聖なる力」を、

失うことなく、持ちあわせていた。

「魔女」の「魔力」は、

その長き、生涯に渡る道のりを通じ、

蹂躙されることの、なき場合のみに

「全き力」

を発揮すると、いわれている。

そして、「シン」が、

陰ながら守護することにより、

蘭佳梨螺(ランカリラ)の「聖なる力」は、

永遠に守られ、汚されることなく

保持されるべき「定め」にあった。

更新日:2021-08-01 07:20:51

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