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開戦準備

挿絵 550*364

昭和16年、日米関係は悪化の一途を辿り、外交交渉の決裂に備えて開戦の準備を始めた。ヨーロッパではドイツ・イタリアの枢軸国とイギリスやフランスなどの自由主義国の間で、既に第二次世界大戦の火蓋が切られており、日本はドイツ・イタリアと三国同盟を締結していた。

アメリカに比べて工業生産力が劣る日本は、開戦初期に敵国に大打撃を与えて和平交渉に持ち込むしか方策がない。
そこで、連合艦隊司令長官の山本五十六は、アメリカ太平洋艦隊の真珠湾への奇襲攻撃を立案した。

11月26日、択捉島の単冠湾に集結していた連合艦隊は錨を上げて、作戦行動を開始した。
第一航空艦隊の第二航空戦隊司令官となった山口は旗艦の空母「蒼龍」に乗艦していた。山口は敵の潜水艦の動きが気になって仕方がない。当然の事ながら、日本艦隊の動きを監視している筈だ。艦隊の動きの真意を悟られないように、通常演習を装って集結した攻撃部隊は、無線封鎖をしながら出航。

12月2日、大本営より機動部隊に対して「ニイタカヤマノボレ一二〇八」の電文が打電された。12月8日に開戦決定の通知である。
ハワイを目指す艦隊の旗艦空母「赤城」のマストDG信号旗が上がった。これは日露戦争で旗艦「三笠」に掲げられたZ旗と同じ意味である。
「皇國ノ興廢此ノ一戰ニ在リ、各員一層奮勵努力セヨ」
遂に来るべき時が来たと誰もが思った。

更新日:2021-07-09 21:30:55

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