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デビルドライブ2

ヤミネイが足止めしている間に、待たせてある西小町の方に戻る。
さてと、小町にどう説明したらいいものか…

「えっと、小町?」
「ん〜〜?」

小町がポヤンとした瞳をして暗い廊下に突っ立っている。
あれ、どした?
何かまた暗示モードになっている。
ああ、そうか、連れやすいようにヤミネイがそうしたのか。
本当、細かい事に気が付く、結構有能なやつだよな。

「行こう、あの空間の穴をくぐれば脱出できるんだってよ」
「ん〜〜?」

小町を空間の穴に連れて行き、くぐらせると小町の姿が消えた。
多分結界の外に出たという事なんだろう。
これで後は僕も小町に続けばいい訳なんだけど…
チラリと僕は廊下の向こうで戦っているヤミネイの方を見る。


…。
あ〜あ、やってしまった。
僕は残ってしまった。
何で残ったんだろう?
戦力になんてならないのに。

穴?ああ、穴ね。
もう無いよ。閉じちゃったよ。消えました。
まあ、何て言うか、全部をあいつに押し付けて自分だけ逃げるっていうのが、どうしても嫌だった…って言えばいいのかな?
だって、一応、僕はあいつのマスターなんだから。…ねえ?
ふざけた使い魔だよ、あいつは。
でも、あそこまで僕に忠誠心を見せて1人で戦っているあいつを、僕は見殺しにはできない。

ヤミネイが絶体絶命になったら抱き抱えて逃げ出そう。
そんな自分らしくも無い無謀な事まで考えていた。
脱出したようなフリをしてこっそりと近付き、コンクリートの壁の出っ張った凸部分の影に身を隠して様子をうかがう事にした。
幸い2人の悪魔は僕に気付いた様子は無い。

ヤミネイと殿宮の会話が聞こえる。
僕は耳を澄まして会話を聞き取る事に集中する。

「あなたの負けですよ」
「はあ?何言ってるの?手も無いその状態で」
「考えられるボクの負けは唯一、マスターがやられてしまう事でした。マスターが殺されてしまえばボクの戦っている意味も無くなってしまいますからね。人質にでもされれば、さらに厄介です。…でも、これで憂いも無くなった」
「それが何?」
「つまり、ボクも本気が出せるって事ですよ」

ヤミネイの体が変化する。
2本の赤黒いツノが頭に生え、背中から2対の黒い翼が膨らみ広がっていく。
切れていた右腕も復元していく…って、やっぱり元に戻るんかい!
嘘つきか!忠誠心ゼロじゃね〜か!

…これって悪魔化ってやつかな。
なんか勝てそうじゃん。
僕、いる意味無くない?
あ、となると、ヤミネイの弱点って、もしかして僕だった?
なら、いない方がヤミネイにとって都合良かったのか…
もしかして、、、僕、やっちゃった?











更新日:2021-09-12 21:16:45

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