官能小説

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僕と青野瑠璃

 ついに卒業式の朝だ。習慣を変える気のない僕は、いつも通り早めの登校をした。ところが、他にも習慣を変えたくないらしい輩がいた。青野とサキである。僕より早く来て、もう走っている。
 今日で六年間の小学校生活が終わる実感などある筈が無かった。生きてきて、ずっと生活即学校だったのだから。
 校庭から戻ってきた青野は、まっすぐ席に着いた。フォーマルな衣装にもう着替えてきていた。僕に小声で挨拶したとき、青野の緑の目には悲しそうな色があった。
 まだジャージのサキは僕のところに来ると
「卒業式って、実感ないね。」
「お前は二ヶ月も居なかったから当たり前!」
「でも、立哉とはずっと前から知り合いだったみたいな気がする。」
 縛っていた金髪をばさりと下ろした。冒険物語に出てくるエルフそっくりだと思った。
「着替えてくる。汗かいた服、あとで上げるね。」
「今日は卒業式だぞ。そんな気分にならないよ。」
 次第に教室の人の数が増えていった。みんな着飾っている。
 やがて、いつもより長めの朝の会が始まった。
「健全な精神は健全な肉体に宿る。人間、健康が一番だ。体を鍛えろ。そして、お前らの仕事は勉強だ。中学に行ってもたるむんじゃないぞ。よし、体育館へ行こう。」
 相変わらず先生は直球だった。いつまでも変わらないでいてほしいと思った。
 体育館には既に保護者たちの人だかりができていた。正月よりも着物を着ている人が多いようだった。
 僕は、体育館に入った途端、フェオソフィエワさんを見つけた。金髪が目立って、自分の親より先に目が行った。ほまれさんも隣にいる。幸か不幸か、石田先生はフェオソフィエワさんの顔を知らない。
 三組には、小薗江の姿があった。僕同様、フェオソフィエワさんにも気付いている筈だが、動じている様子は無かった。

更新日:2021-10-03 08:52:04

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