官能小説

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地蔵クラブ

二ヶ月後。梅雨が明け、夏を迎えようとしていた。僕へのいじめは青野のお蔭で無くなっていた。
「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」
朝の時間、僕は青野に話しかけた。
「この頃、お前、何だか変わった気がする。何かあったの? それとも何かしてる?」
「変わった? どんなふうに?」
青野は嬉しそうに聞き返した。
「近寄りがたいような、透明なような。うまく言えないけど。」
「後で教えてあげる。」
青野は、ちょうど寄ってきた村澤を見ると、口をつぐんだ。
村澤と僕とは、何でもない仲になっていた。つまり、仲が良い訳でも悪い訳でもなかった。
「あのさあ、おまえらのどっちか、今日の餌やり、替わってくんねえかな。妹が風邪引いてて、面倒みなくちゃなんねえんだよ。」
「いいよ。」
青野が即答したが、僕は
「お前、部活あるだろ。僕がやるよ。」
村澤は
「悪い。今度なんか返すから。」
貸し借りにこだわる奴だと僕は思った。村澤の背中を目で追いながら青野が
「いいの?」
「鶏の餌やりくらいできるよ。バカにするな。」
「村澤、かわいそうだよね。お母さん、いないんだっけ。」
「多分。あんまり知らないけど。」
言って、人の家の事情に自分が疎いことを僕は自覚した。そもそも僕は他人にあまり興味がないのだ。

更新日:2021-05-31 09:04:59

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