官能小説

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プレゼント

 街にはクリスマスの音楽が鳴り響き、人が沢山いた。飾りも所々に付いている。僕は青野へのプレゼントを買いに来ていた。恋人と過ごすクリスマスなんて初めてのことだ。
「この人たち、みんな幸せなのかな。」
 そう思ったとき、一転、僕は暗澹たる気分に襲われた。自分こそどうなのだ。目に見えるところで活動している悪魔の存在。また、周りに増えている、清浄界に繋がった知人。その中で、ただ迷っている自分。
 僕は、危険を知りながら浮かれている相当救いようのない人間なのじゃないだろうかと、自分のことを思った。
「タツヤクン、コンニチハ。」
「え?」
 後ろから、鈴の鳴るような綺麗な声がして、振り向いたら、フェオソフィエワさんだった。
 薄紫のコートに身を包んだフェオソフィエワさんは相変わらず美しかった。
「あ、こんにちは。」
 青野たちからいろいろ吹き込まれている僕は、どうしたらいいか分からなかった。救いようがないなどと思った矢先に悪魔に見つけられたのだとしたら、打ってつけの感も甚だしい。
「イッショニ オヒルヲ タベマセンカ? ういーくりーまんしょんヲ イマ カリテイマス。スグ ソコデス。」
 フェオソフィエワさんは買い物の後のようで、バゲットの入った大きな紙袋を抱えていた。

更新日:2021-07-16 07:01:51

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