官能小説

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隣人愛

 街中にある、よそと比べても比較的大きな病院の泌尿器科病棟へ、僕と青野は足を運んだ。受付の人に聞いてみたら、小薗江は全治三ヶ月で、まだしばらくは入院なのだそうだ。
 案内してくれた女性の看護士さんによれば、形成術などはしないから、余分な器官の残りは取り去り、縫い合わせただけだと言う。
「女の子とも形が違うわね。」
 そんなことも聞いた。
 病室に入ると小薗江は驚いた顔をした。僕は
「具合どうだ?」
 小薗江は横を向いて答えなかった。
 ベッドの脇から管が伸びている。小便を直接取り出しているのに違いなかった。
「僕、昔のこととか気にしてないから。早く良くなってくれな。」
 小薗江がそこで口を開いた。
「河野は?」
 青野が受けて
「会ってないけど、妊娠したみたいよ。」
 僕は
「そんな話、するなよ。確かめてもいないのに。」 
 小薗江は涙ぐんだようだった。僕は
「これ、何にもないけどお見舞いのお菓子。じゃ、帰るわ。また来るかも。お大事に。」
 帰りの廊下で僕と青野はしばらく無言だったが、
「あたし、女としてやっぱり何か意地悪の一つでも言いたくなっちゃう。」
「佳恵だってやり過ぎだよ。」
「それはそうと、暴力がまた暴力を生むことにならなくて良かった。」
「本当に良かったのかな、この結果は。佳恵のとこにも行ってみよう。」

更新日:2021-07-06 06:50:31

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