官能小説

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青野瑠璃と僕

「お前は校庭十周だ! 今から行ってこい!」
学校に漫画を持ってくるなと言われた翌日、僕の机から漫画が出てきたのを先生に見つかった。五月の連休明けのことだった。
 六年生の今年から担任の、この先生は恐かった。これは僕の漫画じゃありませんとは到底言えなかった。誰かがわざと僕の机に入れておいたのだ。
その時だった。
「先生、それ、あたしがやってもいいですか。」
「なに?」
手を挙げた青野瑠璃を見ながら、先生は聞き返した。
「あたしが代わりに走ってもいいですか。それと、それ、辻君の漫画じゃないと思います。」
確かに青野は陸上部の選手、スポーツ万能の女子だけれど、問題はそこではない。先生は
「辻、本当か。」
僕は小声で
「はい・・・」
「じゃあ、誰の漫画だ?」
声を荒げた先生がみんなの方を見て言った。
「俺のです・・・」
おずおずと村澤が手を挙げた。後で見つかったら只事では済まないと思ったのだろう。村澤は、ときどき僕を標的に嫌なことをする。
「お前は十五周だ。辻、何で言わなかった? 五周してこい。」
すると青野がまた元気よく
「あたしに二十周させてください!」
先生は
「お前は余計なこと言わなくていい。それとも、本当に二十周してくるか。」
「はい!」
「じゃあ、青野は二十周、村澤十五周、辻五周、昼休みに行ってこい。」
つまらない事になった。
だが、昼休みに青野は四十周、僕らの分を含めて一人で走り、先生には言うなと僕らに口止めをした。嫌味な村澤さえ、これには唖然として
「恩なんか返さねえからな。」
と言いながら、何だかしょげて見えた。

更新日:2021-05-29 19:37:29

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