• 23 / 84 ページ

  「前方より敵モビルスーツ、接近!」

 オペレーターのその声がブリッジ内にこだまし、
 艦内は一気に緊迫する。

  「ヴィノン艦長!」

 その様子を見守っていたルクトがヴィノンの方を
 みやる。
 敵のモビルスーツは、既に砲撃の射程距離範囲内に
 あった。

  「…!」

 ヴィノンが前方を見据えたそのときである!

  ズガガガガッ…!

 接近したザクの一機が装備した「ザクマシンガン」を
 掃射、その幾らかが船体の側面部に被弾した!

  ドドウゥッ!!

 振動と共に、被弾した部分が火を噴く。
 しかし被害はまだ大きなものではないが、これを
 何度も食らえば流石に危うくなる。

  「本艦の側面部に被弾!」

 すぐにオペレーターが叫ぶ。

  「何をしておる!?早く反撃せんか!?」

 確かに相手は先制攻撃を仕掛けてきている。
 …となれば、ここで反撃したとしても、ある意味
 正当防衛としてみなされ、例の条約には
 抵触しないだろう。
 だが…。

  「このまま相手の動きを見守ります」

 ヴィノンは緊迫した表情を保ちつつも、きっばりと
 言った。
 これにはさすがのヨサンも面食らう。

  「どういうつもりじゃ艦長!?このままだと艦が
  沈んでしまうぞ!!」
  「ガンダム…」
  「…!?」

 ヨサンとルクトは思わずヴィノンを凝視した。
 すると彼女は…まるで何かを待っているように
 前方をみつめていた。
 そんなヨサンが前方と彼女を交互にみやる。
 すると…。
 彼はおぼろげだが、いまの彼女の意図を悟った
 ような気がした。

  「まさか…」

 …ヴィノンの思惑はこうである。
 ガンダムは連邦軍のモビルスーツである。
 …となれば、自分たちがやられそうになったら
 再び現れるのではないか…そう思ったのだ。

  「艦長!攻撃を開始するんじゃ!…そんなこと…
  そんなことなど絶対にあり得ん!!」

 まるで「そのこと」を分かったかのようにヨサンが
 叫んだ。
 そのとき、さらに数機のザクが接近、その武器を
 乱射しながら迫る。

  「全方向…砲撃、用意!」

 …それは既に遅かったかと思えた、そのときで
 あった。

  ドウゥッ!!

 ブリッジを通り過ぎようとしていたザクが…
 突然その大輪の花を咲かせ爆散した。
 その衝撃で激しく艦が揺れる。

  「そんなことが…!?」

 ヨサンが驚愕すると同時に、後方から「何か」が
 物凄い速さで通り過ぎていった。
 それは…。

  「やはり…」

 その肌に汗を張り付かせたヴィノンが立ち上がる。
 彼女の予測通り、「それ」は青白い光を発しながら、
 マゼランの後方から現れた…!

  ドシュウゥーンンッ!!

 今度はその両腕に、あの特有の武装が成されて
 いた。
 それは「ビームライフル」、そして…「シールド」で
 ある。

  「くっ、やはりあの白い奴か!?」

 既に艦の後方へと過ぎ去ったザクのパイロットが
 その姿を認めた。
 そして…。
 最後尾にいたゲルググ…エティウォールも、ついに
 そのモビルスーツと対面を果たした。

  「あれが…ガンダム…!」

 しかし…。
 彼の機体へと接近するはずのその白い奴…
 ガンダムは突如急旋回し、再び艦の後方にいた
 ザクに向かって飛んだ。

  「リムル!」

 ヨサンとルクトが同時にその名を叫び、二人は
 思わず互いに「知っていたのか?」…と、
 いわんばかりに顔を見合わせた。

  …フウゥーンンッ!!

 ガンダムが加速すると…その全身にある特有の
 透明の装甲…「サイコフレーム」が、淡いピンクから
 眩しいほどの白い輝きに変わった!

  ドシュウゥーンンッ!!

 ガンダムのビームライフルが放ったその光が…
 そのザクの単眼(モノアイ)部分を撃ち抜き、
 続けざまに二、三発、それが叩き込まれた。

  ドドオォーッ!!

 ザクは一瞬にして粉々に砕け散った。
 そして…。
 いつのまにかそこには、エティウォールのゲルググ
 だけが残った…。

更新日:2022-02-13 10:50:55

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook

機動戦士ガンダム R191 特別編 / 物語を紡ぐもの