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第2話 ヴィノンの思惑
内部のメカが剥き出しとなり、片方の腕を斬られた
無残な姿のモビルアーマー、「ビグロ」…。
その加速と運動性がウリだったそれは、突如現れた
謎のモビルスーツに敗れ去った。
だが…。
ビグロはかつて地球連邦軍の最新鋭モビルスーツ、
「ガンダム」に既に敗れたという事実がある。
そして今回も…ジオンが恐れていたその「白い奴」が
現れたのだ…!
「まさか…!」
ヨサンはその姿をみて思わず呻いた。
彼の記憶にある、かつてみた「それ」が…いま再び
その姿をみせたからである。
だがしかし…。
それは記憶にある「それ」とどこかが違う。
まず頭部には、二本のV字型のアンテナのほか、
もう二本、垂直に伸びたそれがある。
そして…全体のカラーリングは白だが、装甲各所には
淡いピンク色の光を放つ、透明の装甲が取り付け
られていた。
また、胸部から腹部にかけては、「コアブロック」と
呼ばれる機構と、そして、二の腕と大腿部の部分は、
内部のフレームがむき出しとなっており、そのうち
脚の部分には、その透明な装甲がある。
それに…かつてのガンダムと呼ばれたそれよりも、
一回り大きい。
…ちなみに、シールドやライフルといった、その
特有の武装はなされていなかった。
「あれが…『ガンダム』…なのですか?」
艦長のヴィノンは、ブリッジのメインスクリーンに
映るその機体をみてヨサンに問いかけた。
おそらくは、彼女にとってはそれと遭遇するのは
これが初めてのことなのであろう。
「ああ…そうなんじゃが…」
彼はそう答えるが、それははっきりとはしておらず、
どこか曖昧だった。
そのとき、ふと何かに気付くように、その白い
モビルスーツ、「ガンダム」がゆっくりと振り向いた。
「…っ!?」
動物が本能的に何かを感じるように、ヨサンは顔を
上げ、その眉根がピクリと跳ねた。
どこからか聞こえた何かが、彼の耳朶を打った
からだ。
それに気づいたヴィノンが彼を凝視する。
「あの…整備長…?」
『PEACE RIVIVE』
いま誰かの声がその言葉を発し、ヨサンの全身を
駆け巡る。
それは、自分からみれば遥かに年若い女性の声で
あった。
そのあと目の前にいたガンダムが、背部の
バーニアから青白い光を発し、突然その場から
離脱した。
それは、一瞬のことだった。
「お…おいっ…」
何かを言おうとしたヨサンを残し、その白い
モビルスーツ…ガンダムが遠ざかっていく。
やがてヨサンはゆっくりと崩れる様にその場に
両膝をつき、離れていくその光をいつまでも
みつめていた…。
無残な姿のモビルアーマー、「ビグロ」…。
その加速と運動性がウリだったそれは、突如現れた
謎のモビルスーツに敗れ去った。
だが…。
ビグロはかつて地球連邦軍の最新鋭モビルスーツ、
「ガンダム」に既に敗れたという事実がある。
そして今回も…ジオンが恐れていたその「白い奴」が
現れたのだ…!
「まさか…!」
ヨサンはその姿をみて思わず呻いた。
彼の記憶にある、かつてみた「それ」が…いま再び
その姿をみせたからである。
だがしかし…。
それは記憶にある「それ」とどこかが違う。
まず頭部には、二本のV字型のアンテナのほか、
もう二本、垂直に伸びたそれがある。
そして…全体のカラーリングは白だが、装甲各所には
淡いピンク色の光を放つ、透明の装甲が取り付け
られていた。
また、胸部から腹部にかけては、「コアブロック」と
呼ばれる機構と、そして、二の腕と大腿部の部分は、
内部のフレームがむき出しとなっており、そのうち
脚の部分には、その透明な装甲がある。
それに…かつてのガンダムと呼ばれたそれよりも、
一回り大きい。
…ちなみに、シールドやライフルといった、その
特有の武装はなされていなかった。
「あれが…『ガンダム』…なのですか?」
艦長のヴィノンは、ブリッジのメインスクリーンに
映るその機体をみてヨサンに問いかけた。
おそらくは、彼女にとってはそれと遭遇するのは
これが初めてのことなのであろう。
「ああ…そうなんじゃが…」
彼はそう答えるが、それははっきりとはしておらず、
どこか曖昧だった。
そのとき、ふと何かに気付くように、その白い
モビルスーツ、「ガンダム」がゆっくりと振り向いた。
「…っ!?」
動物が本能的に何かを感じるように、ヨサンは顔を
上げ、その眉根がピクリと跳ねた。
どこからか聞こえた何かが、彼の耳朶を打った
からだ。
それに気づいたヴィノンが彼を凝視する。
「あの…整備長…?」
『PEACE RIVIVE』
いま誰かの声がその言葉を発し、ヨサンの全身を
駆け巡る。
それは、自分からみれば遥かに年若い女性の声で
あった。
そのあと目の前にいたガンダムが、背部の
バーニアから青白い光を発し、突然その場から
離脱した。
それは、一瞬のことだった。
「お…おいっ…」
何かを言おうとしたヨサンを残し、その白い
モビルスーツ…ガンダムが遠ざかっていく。
やがてヨサンはゆっくりと崩れる様にその場に
両膝をつき、離れていくその光をいつまでも
みつめていた…。
更新日:2022-02-13 10:49:54