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小説

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ニャン介の匂い

 43歳独身。2年前に離婚してアパートも引き払い現在は実家暮らし。

 といっても両親は兄貴の家族を頼って現在は東京にいるので、ここ数年は疎遠だ。

 仕事は倉庫の整理で、寡黙な男達とひたすら力仕事。

 職場にいる女性は還暦越えの事務のおばちゃんのみで、あまりしゃべることもない。

 たまに立ち寄るスナックも3日前からコロナの影響で午後8時までの営業となっており、7時過ぎに仕事を終える俺を拒絶している。

 そんなわけで、俺がしゃべる相手といえば飼い猫のニャン介くらいなものだ。

 俺とニャン介の二人暮らし。しかも昼間、俺はいないので寂しいのだろう。

 すごく甘えてくれる。

 仕事から帰ってくるとニャンニャンと駆け寄って来て、座卓に座るとすぐに膝の上に乗った。

 ところがこのニャン介、歯垢がたまっているらしく口臭がキツイ。
欠伸をしただけでプーンと匂うのだ。

 その口でペロペロと舐めてくれる。

 うれしいが、ちょっと複雑だ。だが舐めてくれたところを匂ってみても別に匂いはしない。

 ニャン介の好意に対して済まないという思いがして、頭をなでてやると、ニャン介はうれしそうにのどを鳴らし、今度は伸び上がって俺の顔をペロペロ舐めた。

 ニャン介に見つからないようにして、そっと顔を拭いた。

更新日:2021-04-11 16:03:40