• 37 / 170 ページ

6.Homecoming

挿絵 400*266

・・・あぶなかった。
思わず声を上げそうになった。

落ち着け・・・冷静になるんだ・・・

リサにラリホーの呪文で眠らされ
気付いたら彼女がオレに寄り添うようにして眠っていて・・・
彼女の額がオレの頬に触れていた。
その無防備な姿はオレを信頼してくれているということだろうが。

いくらなんでも無防備すぎる。
いや焦った・・・

混乱する気持ちを鎮める為
彼女を起こさないようにそっとベッドから出る。

というかアレクはどうしているんだ?
王の許可無く姫に手を出すことはしないだろうが・・・


なにはともあれ・・・リサの容態が落ち着いて良かった。

真っ青な顔で倒れ首元が黒く腫れ上がった彼女の姿
・・・息が止まるかと思った。

非常事態だったし、無我夢中で手当をしたが・・・
冷静になって考えると彼女に触れすぎた気がする。
更に何もしていないとはいえ、恋人でもない男性とこうしているなんて。
致し方ない状況ではあるのだが
ディウスに怒られそうだな・・・覚悟しておこう。


リサは深く眠っている。
強力な魔術と深い知識でオレ達を助けてくれる賢者の彼女は
弱い部分を他人にみせられない、不器用な普通の女性・・・

大事な仲間だが、今回のことで強く『異性』を感じてしまった。

これが何を意味するのかまだ今のオレには漠然としか分からない。
リサは感情を少しずつ出せるようになったばかりだ。
余計な思考は巡らせず、今まで通り接しなければ・・・


気持ちを整理しようと思い、窓から夜空を眺める。
姫を救出することができたのだから
これから竜王との戦に向けて体制を整える必要がある。

そろそろ、戻らないとな。

更新日:2015-05-18 22:41:34

  • Twitter
  • LINE
  • Facebook