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母と家庭と
「南無御守護尊神、ご先祖の諸精霊様」
豊子にとっては信仰が全く人生の支えだった。気分の変わりやすさと突飛な行動を、人にいつでも非難されてきた。しかし自分としては理屈がある。そして、そういう態度を自分では抑えられないことが豊子にはよく分かっていた。元来、好きな事しかできない性分で、それに従い生きてきたのだが、それを他人は良いと思っていない。信仰心だけが、自分を人の認める人間らしく留めているのだと豊子は思っていた。
子供のことは心配でもあるが、どうにでも育ってくれたら良いとも思う。明るくて細かいことを気にせず、働くのがさほど苦にならない豊子は、二人の子供が成人するまで面倒を見るつもりだった。ところが、豊作はペットのように住み着いたままだ。アーシュラは、健康が心配ではあるが、卒なく何とか生きていくだろう。もちろんアーシュラと豊作が一緒に離れてくれれば、それに越したことはない。
「もうこんな時間。そろそろご飯の支度しなきゃ。」
豊子は、ソジュンと二人で暮らすことを真面目に考え始めていた。ソジュンの素性など、思い詰めた豊子にはどうでも良いことだった。周囲の目を心配して行動するような習慣は、豊子に皆無なことだった。ただ、信仰だけはソジュンと共有しなければならないと思っていた。
豊子にとっては信仰が全く人生の支えだった。気分の変わりやすさと突飛な行動を、人にいつでも非難されてきた。しかし自分としては理屈がある。そして、そういう態度を自分では抑えられないことが豊子にはよく分かっていた。元来、好きな事しかできない性分で、それに従い生きてきたのだが、それを他人は良いと思っていない。信仰心だけが、自分を人の認める人間らしく留めているのだと豊子は思っていた。
子供のことは心配でもあるが、どうにでも育ってくれたら良いとも思う。明るくて細かいことを気にせず、働くのがさほど苦にならない豊子は、二人の子供が成人するまで面倒を見るつもりだった。ところが、豊作はペットのように住み着いたままだ。アーシュラは、健康が心配ではあるが、卒なく何とか生きていくだろう。もちろんアーシュラと豊作が一緒に離れてくれれば、それに越したことはない。
「もうこんな時間。そろそろご飯の支度しなきゃ。」
豊子は、ソジュンと二人で暮らすことを真面目に考え始めていた。ソジュンの素性など、思い詰めた豊子にはどうでも良いことだった。周囲の目を心配して行動するような習慣は、豊子に皆無なことだった。ただ、信仰だけはソジュンと共有しなければならないと思っていた。
更新日:2021-03-23 15:34:51