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若い妻と
豊作の父、作造が再婚して、もうじき二年になる。若い妻は妊娠していた。
豊作の親権も豊子に渡し、もう関わる必要もない筈なのに、集会で顔を見るたび、作造には彼らのことが気に掛かるのだった。
豊子は相変わらず奔放な生活をしているようだし、いい歳をした豊作は無職でいる。全く屑のような奴らだと、堅気の作造は苦々しく思う一方、彼らが祈祷会には欠かさず出てきて、挨拶もする点には感心したものだと思っていた。
世間のしがらみに縁のないせいか、豊子は未だに若々しくさえある。そんな女と連れ添った期間が、作造にはまた誇らしく思われもするのだった。
「なんだ、まだしたいのか。」
「そういう事じゃないの、女は。」
大学の農学部を出てすぐ結婚した若い妻は、作造の技術指導の教え子であった。妊娠してもセックスを求めて誘う妻は可愛らしかった。
「したいのは自分の方でしょ?」
「男はそうさ。」
「後でうんと痛くしてあげるから。」
六十になる作造は、宝でも抱くような感覚で、妻の乳房を貪った。
年相応に少なくなった精液の出を補おうと、妻は毎晩、夫の睾丸を指で丁寧にマッサージした。それを痛がる作造の様子が面白くて、妻は悪戯っぽい目をしながら
「あなたの命はあたしの手が握ってるんだからね。」
などと言ってはよく笑った。
一度の射精で済ますことを妻は断じて許さなかった。
豊作の親権も豊子に渡し、もう関わる必要もない筈なのに、集会で顔を見るたび、作造には彼らのことが気に掛かるのだった。
豊子は相変わらず奔放な生活をしているようだし、いい歳をした豊作は無職でいる。全く屑のような奴らだと、堅気の作造は苦々しく思う一方、彼らが祈祷会には欠かさず出てきて、挨拶もする点には感心したものだと思っていた。
世間のしがらみに縁のないせいか、豊子は未だに若々しくさえある。そんな女と連れ添った期間が、作造にはまた誇らしく思われもするのだった。
「なんだ、まだしたいのか。」
「そういう事じゃないの、女は。」
大学の農学部を出てすぐ結婚した若い妻は、作造の技術指導の教え子であった。妊娠してもセックスを求めて誘う妻は可愛らしかった。
「したいのは自分の方でしょ?」
「男はそうさ。」
「後でうんと痛くしてあげるから。」
六十になる作造は、宝でも抱くような感覚で、妻の乳房を貪った。
年相応に少なくなった精液の出を補おうと、妻は毎晩、夫の睾丸を指で丁寧にマッサージした。それを痛がる作造の様子が面白くて、妻は悪戯っぽい目をしながら
「あなたの命はあたしの手が握ってるんだからね。」
などと言ってはよく笑った。
一度の射精で済ますことを妻は断じて許さなかった。
更新日:2021-03-23 15:34:03